国土交通委員会参考人招致が行われた昨日、安倍晋三官房長官は、耐震強度偽造問題で入居者の移転費用などを念頭に、公的資金投入による支援を前向きに検討する事を明らかにした。
待て、安倍君。 数日前からワイドショーでは公的資金投入を叫ぶ人がちらほら出ていたので危惧していたが、官房長官の口から聞こうとは。 公的資金とは即ち税金の事だよ。 それを簡単に決めて貰っちゃあ困る。 そんなにいい格好がしたいのか君は。
物事には順番がある。 悪者探しは良くないと武部さんは言ったが、まず誰が悪者かをはっきりさせるべきだ。 そしてそいつにしっかり責任を取らせるのが筋ってもんだろう。 私は安易な税金投入には反対だ。 自然災害なら仕方ないが、犯罪被害者救済に税金を遣うのも、正直言って反対だ。 何故なら、責任を取って補償すべきは、原因者であるからだ。 我々は犯罪者の尻拭いのために税金を支払っているのではない。 血税だもの、建設的な事にこそ遣って欲しいのだ。
私がそう持論を述べると、主人は言った。 「確かに責任の所在は明らかにすべきだね。昨日の参考人招致は結局責任の擦り合いに終始したみたいだけれど、絶対に主導した人間がいる筈だ。勿論言いなりになった奴も共犯だから、まずそいつ等の私財を没収して、被害者救済に当てるべきだな。そして足りない部分については国が補償してもいいと思う」 「そりゃそうかも知れないけれどさ、今の法律じゃあ私財没収は無理でしょ? 現に木村建設は倒産しちゃってイチ抜け状態だし。まず法律改正よね!」 と私が鼻息荒く論じると、彼は首を振った。 「現実には無理でしょ。会社と個人の財産は別だもん」 一寸カチンと来た。 私財没収って、貴方が言い出したんでしょうに……何故ここで急に現実的になる? 「小嶋社長って、色々な商売を転々として来たんだって?」 「うん。雑誌で自慢げに華麗なる経歴を披露していたわよ。すぐ壊れる綿菓子製造機やら消火器やら売り歩いていたって。きっと『消防署の方から来ました〜』ってやつじゃないかしら。普通隠すもんだけれどね、そういう職歴は。この人は詐欺紛いの仕事も屁とも思わないんでしょうね」 「……奥さんの口からは聞きたくない言い回しだな。しかしこういう奴は性犯罪者と一緒で、また同じ事を繰り返すんだな。カルロスもこいつ等も一目で前科者と判るように、額に肉とでも刻印すべきだな!」 その案には大いに賛成なんだけれど……何故また急に非現実路線に切り替わる??
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