2005年11月29日(火) |
これまでの粗筋〜耐震強度偽造問題〜 |
私がおフランスに行っている間に、日本では、「姉歯」というそれまで聞いた事の無かった苗字が一躍有名になっていた。 事の次第がさっぱり判らないため、一寸調べてみた。
11月18日:マンション20棟とホテル1棟で、設計事務所が偽造した構造計算書が建築確認の際に使われていたと国土交通省が発表。 同省は建築基準法違反の疑いで、書類を偽造したとされる一級建築士・姉歯秀次(48・千葉県)の刑事告発を検討。
11月20日:東京都内のマンション2棟が倒壊の危険性ありと判明。
11月21日:指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都)が、中間検査や完了検査を実施しながらも、不備を見付けられなかったという事が発覚。 13棟のマンションが震度5強で倒壊する虞があり、建て替えが必要と国交省が発表。 渦中の物件を設計施工した木村建設(熊本県)が1回目の不渡りを出す。
11月22日:今年5月に問題物件の1つが、広いマンションとして社団法人「日本住宅建設産業協会」の優秀事業賞に選ばれ、建築主の「ヒューザー」(東京都)が表彰されていた事が発覚。 (TVで見た部屋は確かに広かった。マンションとしては不安になる程に) 同社は物件の買い戻しを拒否、一方不動産会社シノケン(福岡県)は2棟を販売価格で買い戻し、解体する方向。
11月23日:姉歯建築士の構造計算書は、地震による力が正規の数値だったり3分の1に計算されていたりした事が判明。
11月24日:木村建設が破産申請手続きに入る事を表明、しかし偽造には関わっておらず、姉歯建築士に圧力をかけた事も無い、自分も被害者だと主張。 国土交通省は姉歯建築士から弁明聴取、イーホームズに立ち入り検査。 熊本県が行った木村建設への立ち入り検査の結果、本社からの姉歯建築士への構造計算委託は認められず、東京支社が中心に同建築士に依頼していた模様。 居住者の救済措置を検討すべく、与党が対策本部を設置。
11月25日:取引先幹部より経費削減のために鉄筋の量を減らすよう圧力を受けていた事を、姉歯建築士が国交省の聴聞で弁明。 しかし、ヒューザー、シノケン、サン中央ホーム(千葉県)は、同建築士への圧力を否定。 木村建設も圧力を否定したものの、東京支店長が同建築士に木村建設への架空請求書を発行させ、それを返還させる手口で金を受け取っていた事を明らかにしたが、金の出所は木村建設であり同建築士からのリベートではないと主張。 記者会見で北側国交省大臣は、民間の調査機関も自治体も耐震強度偽造を見逃していた点について、「民間か行政という話ではなく、どこに問題があったか確認する」と述べた。 東京都がマンションの住民に対し、有償で公的住宅を斡旋すると発表。
11月26日:耐震偽造問題公表の2日前である11月15日に、元国土庁長官・伊藤公介衆院議員(自民党)が、ヒューザーの小嶋進社長を国交省建築指導課長に紹介していた事が発覚。(小嶋社長は2002年12月と2003年12月に、伊藤議員の政治資金管理団体にそれぞれ16万円を献金。またヒューザーは2004年9月に同議員のパーティー券を100万円分購入している) 小嶋社長は同月9日(イーホームズが同省に耐震性問題を報告した翌日)と22日にも同省を訪れており、担当者に財政支援を迫っていた。 姉歯建築士に構造計算を発注していた森田信秀建築士(55・東京都)が自殺死体で発見。 武部幹事長、「悪者探しに終始すると、マンション業界潰れますよ。景気がおかしくなるほどの大きな問題です」と発言……。
11月27日:買い戻しを拒否していたヒューザーが一転、販売価格の106%で買い戻す方針を明らかにした。 26件の耐震強度偽造を見逃していたイーホームズが、法令上の手続きを独自に簡略化していた事が判明。(同社の藤田東吾社長は前述の伊藤議員の元秘書・吉原修都議に300万円以上を献金している)
11月28日:川崎市は、耐震強度が基準の3割と判明した市内の分譲マンションに全国初の使用禁止命令を出し、12月中旬を目処に退去を求める方針。
11月29日:衆議院国土交通委員会にて参考人招致。姉歯建築士は欠席。
|