学生時代の親友から、久し振りにメールが来た。 私からは何度かメールしているが、返事が無いので相変わらず仕事が忙しいのだろうと思い、こちらからは電話もしなかったのだが、何となく電話をかけてみようという気になった。 携帯からだとお金がかかるので、固定電話でかけてみたが、7度コールが鳴っても出ない。 連休だが今日も仕事かな……と思いながら携帯に電話してみたところ、あっさり「もしもし」の声。 仕事中かと問うと、違うと言う。 では家にいるのかと問うと、そうだと言う。 しかし今アパートに電話したが、誰も出なかったぞと問い詰めると、肯定も否定もしない。 様子がおかしい。 話を聞いてみると、実は休職中なんだとか。 彼女は今年の春、それまで馴染んでいた所から異動になったのだ。 「調子悪いながらも頑張っていたんだけどさ、夏休みに入ったら糸が切れたみたいに駄目になっちゃって」 と、彼女はぽつぽつと語った。 「そうか……。で、今度はどうするの」 実は彼女、数年前にも同じような事があったのだ。 今回もストレス障害と診断されていて、状況も前回と全く同じである。 「もう2回目だし、復帰は無理だろうね。私もあそこではもうやって行けないや。だからと言って、自分に合う所に異動させて貰える訳じゃないし」 厳しいが、仕方ないのだろう。 暫く休んで、後の事はそれから考えると彼女は言った。
それから学生時代の友人達の近況等で盛り上がり、電話を切ったのは2時間後だった。 しかし私は、電話料金よりも彼女の事が気になって仕方ない。 仕事から帰った主人にその事を話すと、彼は言った。 「2度目なら退職も已むを得ないな。こうなったら、親元に戻るのが1番いいだろう。シオン、幾ら仲良しでも、こっちに来たらとか安易に言わないようにね」 「流石の私もそんな無責任な事は言わないけれど。彼女も大事だけれど、今の私にとっては貴方が1番大事だもん。彼女、誰にも会いたくなくて暫く引き籠ってたんですって。それが少し回復したから、メールくれたみたいよ。今は旅行に行く気も起きないけれど、そのうちどっか行きたいとは言ってたけれどね」 と私が言うと、彼はすぐさま答えた。 「あーそれ危ない。鬱も入ってるんでしょ。何もする気が起きない時はいいけれど、能動的になった時に自殺の危険性が高くなるんだよ」 そう言えばそうだっけ……。 今のところ自殺願望は無いと言う彼女の言葉に、私は安心してしまっていたのだ。 「どうしよ」 「どうしようもないでしょ。冷たいようだけれど」 実際ダーリンの言う通りなんだよね、遠いし。 仮令近くにいても、今の私には、心配するぐらいしか出来ないんだろうなあ。
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