帰宅したダーリンに、早速報告した。 「ねえねえ、今日トラックが来て、上の住民が引っ越して行ったわよ。それで昨夜、夜中にガタゴトしてたのね」 「えー、本当に引っ越しだった? こんな時期に?」 「引っ越し業者のトラックだったもの、間違いないわ。でも時期的におかしいと思うでしょ? トラックも2台来てたし、とうとう離婚かしら」 「僕達もここに越して来る時、道が細くて4トントラックじゃ通れないから、2トンを2台使ったでしょ……シオンは覚えていないのか」 と、わざわざ溜め息まで吐いて呆れるダーリン。 「そ、そうだっけ……でもトラックの大きさが何トンかなんて、見たって判らないもん! で、離婚だと思う?」 「そんなの知るかっ。シオンは何が何でも離婚って事にしたいんだな……」 「違うもん。離婚なんてしない方がいいに決まってんじゃん。ただ、私は真実が知りたいだけよ。貴方は知りたくないの?」 「別に」 詰まんない男ねえ……この人は。 些か拍子抜けしたが、私は尚も言い募った。 「だって私達がここに引っ越して来た当日の夜に、いきなり『助けて〜!』でしょ? その後だって何度も夫婦喧嘩を聞いているし、跫だってドスドス煩くて、何度寝入り端を起こされたか。あれだけ派手な喧嘩をされたら、その後が気になるわよ。それに安眠を妨害されたんだもん、私達には知る権利があると思わない?」 という私の弁舌にも、彼はあっさり答えた。 「思わない」 がっくりする私に、彼は言った。 「シオンはHGだからなあ」 「何よ、HGて……ハードゲイじゃないでしょうね。それとも独逸語読みで『ハーゲー』……ハゲとか?」 「ハード・ゴシッパー・シオン。HGシオンと命名してあげよう!」 ご、ゴシッパーって……。 「それとも、ハイパー・ゴシッピストの方がいいかなあ?」 ゴシップ、ゴシッパー、ゴシッピスト……最上級みたいだな。 てか、どっちも嫌ですから!
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