日々是迷々之記
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会社で同僚の会話を小耳にはさんだ。何でも結婚しているのに指輪をしていない人からは「何か」を狙っているような印象を受ける、というような内容だった。
なにか「胸が大きくて金髪だとバカ。」と同レベルな話だな、と思いつつ、私も指輪をしていない。意図してしていないのではなく、ないのである。普通は婚約や結婚などの節目で指輪を購入するようだが、うちは興味のないものにはお金を出さない方針なので、そういったものは最初から買ってないのだ。
しかし、こういうことを人に話すとまるでこいつはジャワ原人かというような目で見られる。特に女性はそういう人が多い。しかし私も社会と接して当たらず触らず、日々のほほんと生きることを望んでいる。なので、形だけでも指輪をするか、と思い立ち、宇宙百貨かどっかで指輪を買ったことがある。
しかし、私の手は分厚くて手のひらが大きく、指が短くて先っぽは細いのに根っこが太い。そして爪が丸い。もみじまんじゅうに長体(いわゆる縦伸ばし)をかけたような形である。そんな指にはまる指輪があるわけでもなく、夜店で売っているようなフリーサイズのやつだった。
店の選択から買う物まで何もかもが間違った指輪選びがうまく行くわけもなく、わたしはあっさりその指輪をなくした。
しかし、私は指輪という野望をあきらめたわけではなかった。一度勇気を出して宝石を売っているカウンターできれいなおねえさんに指のサイズを測って貰ったことがある。その結果は言いたくない。桁が違う。7号の人とかがいることが信じられなかった。わたしの三分の一って、ああいうもんが三分の一ってどういう意味なんだ。要らぬ恥をかいて私はそのカウンターから足早に立ち去った。(しかしこのカウンターも別に宝石屋じゃなくてロフトの1階のアクセサリー売り場なのだ。)
月日は流れ、また指輪を買った。いつか日記に書いた気もするが、チタンを練り込んだ樹脂でできた肩こりの治るという噂の指輪だ。といっても見た目は輪切りにしたゴム製のガス管である。
これはとても結婚指輪には見えないわけで、まだまだ私は何かを狙っているあやしいおんなとして同僚の前をうろうろするわけである。どこかに以下のような指輪があればぜひ情報をお寄せ下さい。
・21号 ・結婚指輪に見える ・なくならない ・買える値段
ちなみにサイズは家人とだいたい一緒であることが判明。軽く死んでみたい気分だ。握力が80ナンボの男と一緒のサイズって一体…。
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