日々是迷々之記
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今日は夜中に家を出発して和歌山方面に温泉キャンプに出発する予定だ。多分定時にあがれるだろうから、家に帰ったらお弁当を段取りして、おとつい借りたレンタルビデオを見て、それから探偵ナイトスクープを見ているころにきっとダンナさんが帰ってくるだろう。それから出発すれば、白浜の無料露天風呂「崎の湯」に朝イチで入って…。などと計画していた。
仕事は量も少なくよい按配で進んでいた。が、しかし、お昼過ぎにピンチが訪れる。書類が消えてしまったのだ。その書類はメッセンジャーと呼ばれるおっちゃんが午前と午後の2回、取引先を回って回収して来てくれる。それをこっちで整理して、英文請求書を添付してメールで発送する必要がある。その書類は収入印紙が貼ってあり、いわゆる有価証券らしい。
それが無くなったのである。業界の慣例としてその書類にはそれそのものの後ろにコピーしたモノが4枚くっついていて、「copy」というはんこがおしてあるのだが、なぜかそれだけある。それは私の控えとして必要なのだが、一体本体(オリジナル)はどこ行ってん…。わたしは途方に暮れた。探し回ったあげく、やっぱり見つけられず、正直に課長さんへ話した。すると、おっちゃんのカバンの中に落ちてたりするかもしれないから、夕方におっちゃんが帰るのを待てばいいよとのことだった。
ホッチキスで留めてあるものがそんな簡単に外れることもないやろと思うので、課長さんも気を使ってくれているのだなぁと感じ、余計途方にくれた。週末なのにそんな書類を無くしていいんだろうか…。
黙々と次の仕事を進めておく。しかし、頭の中は無くした書類で一杯だ。更新が決まったところでこれはないんでないかい?とほほほ…。
4時半ごろメッセンジャーのオッチャンが帰ってきた。ばさっとお昼に回収した書類をいつものように机に投げる。今日はむっとする元気もない。あたしゃあんたが回収した書類を無くした愚か者だよ…。て感じだ。まる子のように顔に縦線が出ている。
が、午後に回収した書類の間に無くした書類が挟まっていた。ホッチキスのところでちょんぎれて、折れ曲がっている。回収した後、上から別の書類を押し込んでちぎれてしまったに違いない。
くぉらー!ええかげんにせぇよ、オッサン!あんたのせいであたしゃ気をもんでろくなモンじゃないよ!と思ったが言わなかった。きっとこれから先、こういうことは起こるのだ。
「さっきの書類、ありました。」と課長さんに一言告げた。「どこにあったん?」と聞くので、「○○さんが午後の書類と一緒に机の上に出しました。」と答えた。すると、「やっぱりね」みたいな感じの表情を浮かべて、「これ、送ったら、もう今日は終わりでいいよ。」と言った。彼女は分かっている。こういうことはこの会社ではよくあることで気をもんでもしゃあないことが。なるようにしかならないし、なるようになるのだ。
私がこの悟りを身につけることができるかどうか。
かくして今日はどーんと疲れてしまい、家に帰って、お弁当を作ると、コタツで寝てしまい、ダンナさんが帰ってきた物音で目が覚めた。探偵ナイトスクープを半分から見て、和歌山へ出発。
道中、今日、会社でこんなことがあったよと軽く話す。すると、「オッサン、もう隠居せぇよ。」との言葉が。
私もそう思う。
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