日々是迷々之記
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あったらいいなとたまに思う物がある。それは「読書バー」なのだ。どういうところかと言うと、住宅街にあるコーヒー専門店の喫茶店などの雰囲気でお酒を飲みながら、ひたすら本を読むことができるバーなのだ。
外で読書をしたいときがある。ふと探していた本が見つかって早く読みたいとき。異世界を満喫したいときなどは、家以外で読みたくなる。アウトドア系の本なら、河原や公園で読んだりするが、一代記のような物は集中して一気に読んでしまいたい。それは、家のコタツやフトン内ではだめなのだ。じーっと読んでいると、「靴のカカト直します〜」というおばちゃんやら、生協の音楽付き配送トラックが来たりしてどうもイマイチである。
一時期、マクドやスタバなどの外のカフェで読もうと試みたことがある。結果は失敗だった。他のお客さんがしゃべるのを聞いてしまうのと、コーヒーだけでひたすら座っているのがどうも心地よくないのだ。確かにああいう店は回転させてナンボだから仕方ないけど。
そこで思いついたのは読書バーである。ここは私語禁止である。店に入るとふとママと目が合う。ママは棚からキープ本とキープボトルを取り出し、客Aの前に置く。客Aはコートと鞄、そして携帯電話をママに渡す。そしてグラスにバーボン(焼酎でもいいけど)を注ぎ、おもむろに本を開き、しおりのある185ページから本の世界へ入って行く。さて、ママは携帯電話を消音にし、カウンターに並べて自らも読みかけの文庫本の続きを読む。
小さな光がともり、携帯電話に着信があった。ママは無言で電話を手に取り、客Aに渡し別室に行くよう目配せする。客Aは電話を持ち、傍らのドアを開け、電話ボックスほどのスペースの別室に入り会話をする。もちろん、この部屋には防音加工が施してあり、音が外へ漏れることはない。数分後、客Aはウンザリとした表情で別室から出てきた。ママは電話を受け取ると、年季の入ったターンテーブルに客Aがお気に入りのレコードを乗せ、針を落とし、ボリュームを小さく絞る。客Aは目でにこりと笑い、再び本の世界へ入っていった。
なんてことが出来れば外読書も楽しいのだ。もっとも、どういう風にお客さんから料金を頂いたらいいのかは謎だが。それに、全然儲からなさそうなのが問題かも…。
今日は風が冷たく、一日家でぼんやりしていたらこんなこと考え一日が終わってしまった。とほほっ。
明日は仕事なのだ。
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