日々是迷々之記
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2001年12月25日(火) クリスマスの男

目が覚めると、目が飛び出しそうになった。昨夜、ぐびぐびやりながら、某掲示板をうろうろしていたら、寝るのが明け方になってしまい、案の定、起きると昼前なのだ。

しかし、怠けることは許されない。今日はT先生の診察の日なのだ。先週の金曜日の晩に行きそびれているので今日は行かなくてはいけないのだ。ささっと着替えて、やかんのお茶をごぶっと飲み、自転車を担いで外へ出る。ぐぁっしゃぐぁっしゃとこいでどうにか午前中の診察の受付に間にあった。が、しかし、病院は野戦病院の如く混んでいた。通路に長椅子やら、パイプ椅子が出してあり、それっぽさが高まる。

トホホ〜っと大人しく待つことにした。サンケイ、読売、毎日、朝日と一通り新聞を読んで1時間が経過した。受付に聞きに行くと、「30人待ちです。」とのこと。夜に来てもいいかと聞くと、もう、そんなにかからないし、夜も混むと思うので待っていて欲しいとのこと。待つことにした。というより、診察を受けないと困るのは私の方なので待つのだ。

とりあえず、1時間くらいは大丈夫だろうと、マクドナルドで食事をしにいった。戻るとまだ30分しか経っていなかった。長椅子に座ると満腹感からか、うとうとと眠ってしまった。ヤキソバのニオイで目を覚ますともう3時半だった。お腹を空かせたおばちゃんが、どうにもこうにも待ちきれず、隣のお好み焼き屋でヤキソバを買ってきたようだ。

わたしもさすがに待ちきれず、用事もあったので、夜にまた来ますと言い残して病院を後にした。区役所に行かなければいけないのだ。

しかし、外は寒く、家に帰ってニットのセーターに着替えて、フリースの襟巻きを取ってくることにした。そして区役所に行き用事を済ませ、再度病院へ向かう。

病院の近所の大きな交差点で信号待ちをしていると、おっちゃんが話しかけてきた。

「この自転車、スピードよう出るやろ。」にこにこしている。50前後のおっちゃんだ。「そうですねぇ。」急いでいるのと、なんともかんとも疲れた私は生返事をした。「今はもう、よう乗らんわ。オッチャンも乗ったことあるんやで。」その目は私ではなく自転車を見ていた。私は最初はしんどく感じるけど、慣れたら楽だし、楽しいですよ、と答えた。「そうかぁ。若い女の子でこういう自転車乗ってるのは珍しいなぁと思ったんや。」その時、信号が青になった。「寒いから気ぃつけて。」場数の足りない私は「ありがとう。」と答えてこぎ出した。うまく理由は言えないけれど、すこし嬉しかった。

病院に着くと、タイミング良く10分くらいで私の番になった。事故関連の処理の話があるので木曜の晩の診察にまた来なければいけなくなった。1年半、つきあった病院とも恐らく今年でお別れなのだ。

病院を出ると、ぼちぼち8時だ。外はクリスマスモード最高潮!といった感じで浮き足立っている。晩ご飯は何にしようかなぁ〜などと考えながら信号を待っていると、見覚えのある後ろ姿があった。

「こんにちはぁ〜」と声をかけると、その男性はビックリしながら振り返って目をぱちくりさせながら「お疲れさまです。で、何やってるんですか、こんなところで。」と言った。わたしのリハビリの先生だ。

信号が青になったので歩き出した。今日は病院が混んでて、診察がやっと終わったのですよというような話をすると、不意に「僕、今晩は何を食べたらいいですかね?」と問いかけられた。気が利かない私は、「マクドですか?」と言った。「いえ、家にはタマネギと人参とニンニクがあるんです。」「はぁ、それならキャベツでも買って帰って野菜炒めはどうですか?」「…昨日食べました。」

そんな会話をして駅前でそれぞれの方角に別れて進んだ。わたしは、「うちにもタマネギあるから、冷凍庫の豚肉を出してブタキムチにしよう。ビールを一本だけ買っちゃおうかな。にこにこ!」などと考えつつ、家に帰った。
そして、ゴハンを炊き、みそ汁を作り、えのきの芥子和え、甘鯛の西京味噌焼き、そしてブタキムチを作ってビールを飲んだ。

そして今、この日記を書くにあたって、今日一日を思い起こしてみた。もし、「僕、今晩は何を食べたらいいんですかね?」という問いかけに、「もしよかったら、私と食事をしませんか?」と言ったら、クリスマスっぽくなったのだろうか?むむ!いいではないか!そして間接照明のあるようなお店に行き、標準語で会話をしつつ、名前の分からないようなお酒を飲むのだ。(いやはや、さっき見たドラマにかなり影響されてるなぁ。)

が、現実はおでこ全開に髪の毛をくくって、マフラーを鼻までぐるぐる巻きで自転車にまたがり、ブタキムチとビールのことを考えるような女にそんなドラマのようなことは起こらないのが当たり前なのだ。

今もパソコンのまえでわさび漬けをつつき、芋焼酎ロックを飲みながらこの日記を書いている。タマネギと聞いただけでブタキムチを連想し、それしかアタマの回らないいわば「食の奴隷」な私には、ダンナさんはやはりダンナになるべくして巡り会ったのだと思ってしまう。

何故なら、おみやげはいつも食べ物だからだ。こないだは、コンビニのハーゲンダッツを全種類1個づつ買ってきた。その前は、みたらしダンゴにゴマダンゴ。コンビニ特有のナゾの飲み物、例えば、バナナラッシー、バニララテなどもよくおみやげとして買ってくる。

…食べ物のことばかり書いていたらお腹が空いてきた。やはり聖夜は酒と食料なのだ。


nao-zo |MAIL

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