日々是迷々之記
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夕方、家で冷蔵庫の内部を掃除していると呼び鈴が鳴った。押し売りやろかと思いつつ、インターホンに出てみると郵便屋さんだった。ハテハテなんやろと出てみると、友人からのクリスマスプレゼントが届いていた。
クッション入りの大きな封筒。切手にはシカのイラストが書いてある。今は結婚してカナダに住んでいる友人からの贈り物だ。わくわくしながら袋を開けてみると、これがまた、わたしのツボを突きまくりで憎いよアンタ…。と低くうめいてしまった。
まず、お気に入りのアウトドアメーカーのフリースでできたネックゲイター。要は、フリースでできた筒のようなもので冬に外で何かするときにすぽっとアタマからかぶって首にはめる物だ。しっかりとしたポーラテック200で出来ており、とてもぬくい。100円ショップのフリースとは比べ物にならない品質だ。ここのメーカーはとても気に入っており、今着ているフリースのカーディガンはもう7年ほど着ている。毛羽立ってきて、しかも赤色なので「ピグモン」の肌ざわりだが、気に入っているので崩壊するまで着るつもりだ。
次に、カレンダーが出てきた。私は不覚にもこのカレンダーを見てウルウル目になってしまった。「カヌー&カヤック」というタイトルで北米地域でのカヌーのある風景をまとめたものなのだ。その写真は素直に美しく、また、懐かしくもある。12月は特に私の住んでいた町からほど近い「Bow Lake」の写真だった。あのとき私は何をしていたのだろう。カヌーにも乗らずに満喫したつもりだったのか、勿体ない!と意味なく歯がゆい気持ちになってしまった。まぁいい。いつか行くし。
添えられていたカードがまた泣かせる。「カレンダーはなおぞうちゃんの夢だと思うので、どこかよく見えるところに貼っておいて下さい。」そうなのだよ。そのとおり。くだらない呪縛や人工物にウンザリさせられずに水面を漂うことは確かに夢だ。これはカヌー道を突き進むしかない。
何千キロか分からないけれど、遠い空の下でこんなにちまちまぶつぶつ言っている人間のことを気遣ってくれている人がいる。それはとても嬉しくて勇気づけられる思いだ。
カナダを離れてぼちぼち5年になる。自分の中でどんどん日本人になって行く自分にいらつきを感じつつも、日本は楽な国だと安住して行く自分。でも、まだ、私の中で「カナダ感覚」は確かに生きている。ほんの3年ほど暮らしただけだが、生きていく基本のようなものは全てそこで学んだから決して消えることはないのだ。
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