子犬日記
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2005年09月18日(日) |
行間を読めない世代。 |
いわむらかずお『後路みね』(理論社) いわむらかずお『根津あかね』(理論社) 斉藤 洋/作・宇野 亜喜良/絵『アゲハが消えた日』(講談社) 『絶滅哺乳類図鑑』(丸善)
を図書館に持って行き、
ビバリー・バーチ『伝記・世界を変えた人々8 ブライユ』 平見修二『科学史のヒーローたち1 チコ・ブラーエ』(リブリオ出版) ロイド・アリグザンダー『タランと角の王』(評論社) ワイリー&バーマー『地球最後の日』(創元推理文庫)
を借りてきた。
最後の本は、子犬たっての希望。親の押し付けではない(笑) 前回、『ルドルフ』シリーズの斉藤さんの本だからと選んだ『アゲハが…』が一種のタイムスリップもので、初めて漫画でも映画でもない活字SFに触れた子犬は、しきりに「不思議な話だよねえ」と云っていた。宇野氏のイラストを見て「僕でも描けそう」と失礼な感想を漏らしたのはヒミツ。 とにかくその余波で、SFっぽいものを読んでみたかったらしい。まだ早いとは思ったが、読めなくてもかまわないので借りた。…親も読んだことがない古典中の古典SFなんですけどコレ。
宇宙にも興味を持ち始めたので、買ってやった小学館NEO図鑑『宇宙』。その中に、天文関係で重要な発見をした人々を紹介するコーナーがある。 ここに、地動説を唱えたケプラーが載っているのだが、彼の神を恐れぬ地動説のもとになったデータ提供者である師匠チコ・ブラーエの姿はない。けっこうこのパターンは多い。決闘で削がれた鼻に金属製の偽鼻をくっつけたり、プラハの錬金術皇帝ルドルフ2世の食客になったりと、ネタには事欠かない変人なのにもったいない、とかねがね思っていたのだ。 小山慶太氏の『科学史年表』(中公新書)ではチコ・ブラーエの没年(1601)から科学史の歴史を始めている。彼は、望遠鏡がつくられる以前に天文台での観測を始めた科学的な研究者ではあったが、宇宙と神の存在を切り離して考えることが出来なかった旧時代人でもあったのだ。 …とかいう長い前説は心の中にしまっておいて、書架の端のいすに座って鳥の図鑑を貪り読んでいた彼にひかえめに勧めてみたら、わりと好感触だったので借りてきた。 ブライユ点字に関しては、ポケモ■のゲームで点字が扱われている関係もあって、前々から興味があった様子だったので借りてみた。 『タラン…』は、物語読解が弱いのでその対策用に。といっても単に読み流すだけ。親がくっついて読ませるわけじゃないのは今までと同じ。続刊たくさんあるのでがんばってくれ。
「古池や蛙飛び込む…」の「蛙」を「かわず」または「カエル」と読めなかった大学生が35%いる、という新聞記事を読んだ。コラムに関して筆者の意図を正しく読み解けるかという問題については正答率42.1%、高校生よりも低かったという。若年層の読解力が落ちているという話はよく聞くが、こうもはっきり数字で出ると愕然とする。 行間を読めないということは、日常会話の筋や細部が読み解けない、ということでもある。世の中に暗黙の了解とよばれる不文律があることもわからないだろう。ちょっと前に云われていた「人を殺してはいけない理由」や「売春をしてはいけない理由」をきちんと教える必要性、というのもこのあたりとつながっていそうだ。そんなの口で教えることじゃないよと思ってしまう旧世代の腹芸文化は、急速に失われていく運命にあるらしい。
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