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| 2004年04月08日(木) ■ |
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| 08+愚問愚答 |
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『あほくさ』
そんな事言わずに答えてくれてもいいと思う。 めげずに気長にしつこく聞き続けた根気に対して 応えろとは言わないけれど、せめてこっちを見て。
「ちくしょ!」 ピザ屋の裏でトシのピザが焼き上がるのを待っている。 路地裏の裏口の、ポリバケツか何かを蹴飛ばしたら 野良猫が奇妙な声をあげて駆けて行った。
「なにカリカリしてんだよ」 「してない!」 「どこがだよ…」 「そっちこそどこが!」 ピザを取り上げて走り出した。
公園で大の字になってめいいっぱい太陽を浴びる。 まだ今より幾分幼かったあの日 それ以来週に一度ひとりでこうしている。 日に焼けるのは相変わらず苦手だ。 もともと色が白いのですぐに赤くヒリヒリと痛む。
それでも… 『うん』 と言ったあの穏やかなケイを思い出すと 止められるはずがないのだった。
はじめてだった。 彼に守られるばかりの俺が はじめてケイを守っているような気になった。 またあんな風に穏やかな声が聞きたかった。 意識せずに零れ落ちた、心の欠片だった気がする。 ケイの内側で、小さく横たわっていた無意識。 もっと見たいと思った。
だから時々意識的に、食事に出る前の 覚醒しきらないケイに太陽を届ける。 でもそれ以来ケイは無防備な言葉をくれない。 だから無理強いしたって仕方がないのに あの時と同じ質問をしてしまうのだ。 「お日様のにおい、すき?」
ケイの背を追い越した今 流石に上から覗き込むのは威圧的なので ベッドサイドにしゃがんで覗き込む。 期待してじっと見ていると 「煙草」 眠そうな声で催促される。 ちょっとムッとして同じ質問を繰り返すと 最後は決まって視線をそらし「あほくさ」 で終わる。 こっちは結構照れくさいのに。 せめて視線ぐらい合わせて欲しい。
ケイの視線の理由が…俺と同じだと気づくのは 半泣きになりながら無理矢理のし掛かった もう少し先の話。
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