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題名に、「日記と言うよりメモ」の言葉が含まれた場合は、
母の様子や入院等についての内容が書かれています。
ここに、ガンのコトが少し書いてあります。
2002年06月30日(日) |
日記と言うよりメモ(外泊、失敗だったかな) |
今回、食事中や食後は読むのを避けた方が良いと思います。
7時、妹からの電話で起こされた。起こしてくれと昨日頼んだ。 7時5分、また妹から電話だ。 『ん?連続してはヘン』慌てて着替えて、妹のそばに行く。
どした? 昨日あれからお母さんお腹こわしてる。 氷の食べすぎ?家で何も食事してないよね? うん。何も食べてない。 だよね?
どーした?P子なんだって? うん。さっきからトイレとベッドを往復してばっかりなのよ。 お腹こわしてるときは水分取らないと、脱水症状起こすよ。 うん。 冷たいのはお腹こわしてるから、白湯飲める? うーん。 一口で良いから飲んで、ほら。 ベッドで横になったままの母に、妹が用意した白湯を勧める。 何とか一口飲んだ。
何度トイレに行ったか判らなくなった時 突然、母の体から力が抜ける。
起き上がれない。 目を見開いたまま私を凝視する。手を差し出すこともないまま。
正直、背筋がぞっとした。 痴呆の症状か?一瞬そんなコトが浮かんだ。
引きずるようにトイレへ母を連れていく。 お父さんは? ご飯に出たよ。 まだ戻らないの? いーから、あてにしないの!! なんだかヤケクソ気味に母に言ってしまった。
何度か母を連れてトイレに行った時、もう一人でじっと座っていることが できない状態になった。上半身が安定しない状態で、ふにゃふにゃ。 それでも目は、相変わらず相手を凝視する。 母の目に負けそうになる。だめだ負けちゃ。同じように見返す。
できない! トイレで母が叫ぶ。 一緒にトイレに入り、できる!と私が叫び返す。
瑞から見たら滑稽だろう。異様かもしれない。 私をオニと思うかもしれない。母を哀れかと思うかもしれない。 そんなこたーどうでもいい。 今、目の前にいる母の状況でこちらができるコトと 母が望むコトの折り合いをつけるコトだ。
どうして良いか判らない。 ぼそっと、力なくつぶやいた。それでも私を凝視したまま。 判らないなら私が決めてやる。同じように母を凝視したまま答えた。 できるからやってみ?
手伝うことは嫌じゃない。 でも、力が入るようになった母が、それを思い出した時、どう思う? 情けないと思うだろう。それが絶対に私は嫌だ。 母は自分の意思で何もできなくなったワケじゃない。 本当にできないのか見極めたい。 できないことは、できるやつがやれば良い。 それは何に対しても、私はそう思っている。
何時間、同じコトを繰り返したか判らなくなった。
ベッドに横になったまま、お腹が痛いと言われ、お腹をさする。 吐き気がすると言われ、背中をさする。妹と二人で母をさする。 トイレ!と叫ばれ、肩を貸しトイレに連れていく。 下着はもう何回か替えた。 それを自分で後始末できないことを気にする母。 仕方ない、紙パンツ買うか。 12時、妹に買って来てもらうコトにした。 でも何て言って勧めるか・・・。 お母さん?悪いけどコレだと紙パンツだから汚したら 捨てるだけだし、自分でもできるでしょ?ね。 今、お腹こわしてるから、今はこれで我慢して。 無言で頷く母。どう思ったか判らない。 情けないと思ったのかな・・・そうじゃないと良いけど。
まるで、もどす様に欠伸をする。奇声を発する。 もうこちらの感覚も麻痺した。
13時、座っている体も、ずるずる落ちてきてしまう。
もう私じゃ支えきれない。
お父さん。母が呼んだ。 父が手を貸す。父が母を家で支えるのははじめてだ。
おとーさん、痛い!!トイレ行きたいの!母が怒ってる。 やっぱり母の意識は、ハッキリしている。
仕方ない。 お母さん?ちょっと早いけど病院行こう。タクシーか救急車だよ。 母が頷く。 父にタクシーを捜させる。 悪いんだけど、車椅子のまま乗れるタクシーはないか探して。 探せない、探す手立てがない、と首を振る父。 ハッ?切れそうになった(笑) 電話帳が棚の上にあるから、タクシー会社を捜して聞いて。 判った。 該当するタクシーはなかった、その代わり 個人介護タクシーがあったので、お願いした。 後ろの席で横にしたまま乗せる。 全員がタクシーに乗りこんだ。私と妹は後ろの足元にしゃがむ。
14時、病院に着いた。 車椅子を探しに父が出た。 運転手さんはストレッチャーが良いと言い、看護婦さんを探してくれた。 看護婦さんがストレッチャーを持ってきた。 別の看護婦さんも車椅子を持って来てくれた。
看護婦さんが声をかける。 判るー? 目を開けて反応するが動かない。 動ける? 目は開けるが動かない。 無理っぽいねぇー。じゃこっちに乗せるからね? 二人がかりで乗せかえた。
すぐに点滴の仕度が始まる。 ふにゃふにゃの母を見て 症状と時間、口にしたものを確認される。 昨日の夜からお腹をこわしたこと 家に帰ってから食べ物は食べていないこと こんなになったのは、12時過ぎたあたり
看護婦さんが 調子悪い時っていつもこんなになっちゃうの? と聞いてきた。 いつもじゃないけど、食後は力が抜けることは 病院でもあるみたいです。 ココまでひどいのはなかったよね? そっかー。ちょっと点滴をして様子を見ようね。 ハイ。
しばらく横になって車に乗せたからか 何も出ないのに、もどしてしまった。
気持ちが悪い何とかしてもらって。 ブザーで看護婦さんにお願いする。 何とかしてって・・・? 母がまた吐いた。それが聞こえたのか 今行くね、ちょっと待ってね。
ポータブルトイレも用意してもらった。
点滴に、痛み止めだの何だの入れてもらったらしく、 30分もしないうちに母は寝息を立て出した。
一時間ほど眠っているので様態が安定したと 判断した私達は食事をしていないコトに気がついた。 お腹すいたし、帰り仕度もしてないし親元に帰ることにした。
母にメモを残して帰った。
4:15 1回家に帰ってまた来るね。一時間くらいで戻るから。 トイレは看護婦さんを呼んでねって言われたから呼ぶこと!
何時の間にか病室から居なくなった父は 家でゴルフを見ていた。
軽く外で食事をして病室に向かった。
やがて看護婦さんが来た。 さっきおトイレに起きたけど、足もしっかりしてたし もう大丈夫だと思うよ。 そうですか。 なんだったんでしょうか? うーん退院するのに点滴急いで入れて、 バチっと終わらせたからかもしれないねー。 そうですか。 でももう多分大丈夫よ。 ハイ。
原因が判らないコトは不安だ。
母も目を覚ました。 自力でベッドから起きあがった。 あれ?足のむくみが・・・! あ?ホントだ。 引いている。なんだ???? しかも外のトイレに行ってみようかなと言い出した。 うーーーーーーーーーーーん私は反対だけど。 無理なら止める。 ちょうど看護婦さんが通りかかった。 事情を説明してどう思うか聞いてみた。 一人じゃダメ。無理なら止める。ってことだった。 じゃ一緒に行ってみようか。 下着を少し汚したと言うので替えるように言い、 一人で替えられるか聞いてみた。 やってみる。 じゃ待ってるねー。 そうは答えたが頭が低くなるか、足を高く上げないと無理なので 入り口にくっついて立って待っていた。 やっぱり無理みたい。 でしょ?カギ開けて。 中に入って手伝う。 ほいっ、自分で上げな。 あ、できた。 そーだね。 二人でちょっと笑った。
あっという間に面会時間終了の合図。 そんじゃ帰るよ。 おどけて泣きまねをする母。 おどけたように見せて母の本心だって、二人とも気がついていたけど 気がつかないフリをして帰った。 フリ切らないと、終わりがない。それは皆判っているから。
家に戻った妹が 今回の症状を調べた所、やはり脱水症状らしい。 下痢で脱水症状を起こし、それがひどくなると 脱力、嘔吐、発熱を伴う。 母は今回、口内炎がひどく喉が乾いても 水分をあまり口から摂取していなかった。 私達も、お腹をこわしているからと あまり冷たいものは飲ませていなかった。 常温の水分を取らせることが少なすぎたのだろう。
母は外泊が恐くなったと言っていた。 失敗した。
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