みかんのつぶつぶ
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夜、涼しくなってからゴルフの練習へ向かう途中で、 民家も少なく街灯もまばらな細い道の向こうから、 路線バスがボーッとした光を放ちながらやってくる。 バスのなか乗客はまばらで、ポツンポツンと黒い人影。 私はいつもこのバスを見かけると、 ちょうど同じ時期にこのバスに乗車していた自分の姿を思い出す。
3年前の8月、長い距離をゆくこの路線バスにゆれらゆられながら、 ただぼんやりと、ため息をつくことさえも忘れてぼんやりと、 シクシクとする鈍い心の痛みをやり過ごすように、 ただぼんやりと、バスにゆられていた。 病院から帰るときって、 なるべくゆっくりと、 時間をかけてゆっくりと、 心をそっとそっとする時間を保っていた。 それは、 心の傷んだ顔を子ども達に見られたくなかった。 お父さんが可哀想で可哀想で・・・って、 ポロリとこぼしてしまいそうで。 だから、 ゆっくりとゆっくりと、 喉の奥に涙を流しながらゆっくりと、 全て飲み込んでしまうまで時間をかけて帰った。
疲れてたなあ・・・。 頑張っていたなんて全く思わないけど、 精一杯だったって、思うんだ。
あの頃その前を通過するだけだった練習場へ、 明日ゴルフへ行くために練習場へ向かう。 バスとすれ違いながら、 あの頃の私は不幸だったと思わないし、 いまの私が幸せだとも感じないのは、 なぜなんだろうって、切なくなった。
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