新月の夜に約束しよう
DiaryINDEX|past|will
三連休だと言うのに、笑ってしまうほど空いているキャンプ場だった。 朝起きて紅茶を飲み、まだ朝露の残る草原ではしゃいで遊ぶ。 近くの牧場まで牛乳を目当てに出掛けて行き、山を降りてこれまた露天風呂を独占できるほどの閑散とした温泉に浸かる。 毎日決まった時間になると風向きが変わって、雲が運ばれてくる。 私達が理想とするものがたくさん詰まった三日間だった。
最後の夜は余った薪を使い切るために、躊躇いなく焚火台に放り込んだ。 それも終わってしまうと、半月が赤く色を変えて西の空に沈んでいく時分。 娘は一足先にテントの中で眠っている。 私と妻は並んで折り畳みベンチに腰掛けて、月が沈んでいくのをずっと眺めていた。 既に自分のサイトのランタンは火を落としてある。 そして、キャンプ場から全ての明かりがなくなる瞬間はやってきた。 声が出なくなるほどの満天の星。 空が、自分のすぐ隣にまで舞い降りてきたかのようだった。 ↑投票ボタンです
|