久々に町に出た。実に久々である。ここ暫くはもう、すっかりヒキコモリ状態だが仕方がない。それが仕事なのだ。いわばプロのヒキコモリである。参ったか。別に参りゃしねな。実を言えば参ったのは私のほうで、人のたくさんいる所(特に混んだ電車!)はあまり好きではないのだ。が、催し物というはどうしても人のたくさんいる所でやらねばイカンらしい。まあ、採算を度外視すればその限りではないだろうし演じる事が目的であり見せる事は二の次であると割り切れば、例えば山の中で数人の客を前にひとり芝居を打っていてもこれはこれで立派な公演と呼べる。もっとも、偶然それを見た人にはキ○ガイかヤバいキノコに当たったアホの集団のどちらかとしか思われないだろうが。そこで、いやこれはアングラ芝居というもので云々と演劇論をぶち上げれば、やっぱりこいつらはキ○ガイだという事になり駐在所あたりでお迎えを待つ身となる。それではさすがに困るので、大塚の駅まで混雑を我慢するほうを選んだ。 いや、こんなところ、といっては申し訳ないがこんなところに小屋があるとは知らなかった。小劇場だが珍しくきれいで設備も悪くなさそうだ。他人事ながら使用料が気になってしまう。後で調べたらやっぱり高かった。だいぶ前とはいえ飯倉のフォンテーヌでももっと安かった気が。それとも今はこんなモンなのかな。でも、そのせいなのかねえ、最近のチケット代が高いのは。その割にはひどい芝居もチラホラと。あわわわわ。 その点、今日の劇団はベテランが多いので安心してみていられる。むしろ実生活の方が心配になるような連中ばかり。しかもアングラ系ではなくストレートなコメディなので気が楽。内容をダラダラ書くのも興醒めなのでその辺は端折るが、やや長めの2時間休憩なしという上演時間が苦にならないくらい面白かった。いや、最初の15分はちょっとダレてたかな。まあ、まだ2日目だし楽日までにはもっと良くなるのだろう。 終わってから知り合いの役者さんと話す。気のせいか、いつものような苦悩がない。「稽古でもう1ヶ月もバイト休んでて」というたぐいの話題はいつもの通りだが、やはりこういう演目だと演ってるほうも気が楽なんだろうか。みる側としては、これは全く個人的な感想だが胡散臭さが全くない芝居というのは何となく物足りなく感じる事が多い。カビ臭さを微塵も感じさせない清潔な劇場に座り心地の良い椅子、そこで演じられる明るくて楽しいお芝居。面白かったが何か違うという引っ掛かりが残ったのは・・・単に趣味の問題だな。うん。
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