| 2004年05月14日(金) |
Winnyに関する私見(珍しくマジメだぞ) |
どこかのアンケートのコメントの修正版。書ききれんかったので。あっ、でもこれだと身元が特定できてしまうぞ。(笑 まあよい。ワシは何も悪い事はしておらんのだ。来るなら来なさい>京都府警
Winnyは確かに既存の著作権構造を破壊できるだけの環境を創れるツールだし、金子氏もそれを知っていて作ったのだろう。その事は自分の考えとして2ch上で公表もしていたらしい。
では金子氏は「さあ皆さん、できましたのでその(私の考えの)ために使ってみてください」と言ったのだろうか?そういうコメントは、少なくとも私は見た事がない。彼のコメントとされるものはあくまでも自分の考えを述べたに過ぎないものであり、犯罪予告や扇動と読み取れるものには全くお目にかかった事がない。いや、それはお前が無知なだけだ、ここにこうしてあるではないか、という方がいらしたら是非メールを頂きたい。事実には素直に耳を傾ける用意がある。
Winnyのアーカイブには違法なファイルの遣り取りに注意を促す文章が添付されていたはずだ。注意を促す文章は、PL法の出現以来、肥大・氾濫していると言って良い状態になった。不注意を他人のせいにするという非常識を権利に押し上げてしまったこの、ちり紙ですら危険物に仕立て上げてしまおうという愚法のおかげでかえって注意書きに目を通さなくなったという人も多いのではないだろうか。そのせいもあるのかどうかは分からないが、残念ながら金子氏の意に反して著作権法に抵触する利用者が現れてしまった。理想や欲望のために新しい技術を誤って利用してしまったわけだ。これは歴史上の新しい科学技術の開発においては珍しい事ではない。ちょっと検索をかければ化学や原子力の分野でいくつもの実例が見つかるはずだ。などというと大袈裟な表現に聞こえるかもしれない。初めて見たコーラのビンに驚愕したブッシュマンがトンチンカンな行動をするという映画があったが、それに例えても良い。P2Pというのはそれくらい新しく、インパクトのある技術であり、また同時にそれくらい真価を理解し難い高度な技術でもある。IPv6の実用化が目前に来ている現在、P2P技術はこれからの生活を大きく変える事になる。金子氏はその技術を理解し実用化への道筋をつけられる技術者であり、そのテストモデルのひとつとして発表されたのがWinnyだったのだ。
しかし、Winnyは完成には至らなかった。最後にリリースされた時点で、Winnyというものは金子氏の思想をある程度具現化する事ができるテストツールに過ぎなかった。そういう意識があったからこそベータ版としてリリースされていたのではないか、と同じ技術者(といっても残念ながらスキルでは遠く及ばないが)としては思えてならない。236回にわたる頻繁な改修作業も未完成の証であろう。中にはこれを匿名化向上の為のみのように行っていたかのような報道も見られるが、技術的な知識が少しでもある者ならば、匿名化及び暗号化がそのような頻繁な論理改修を行えるほど底の浅い技術ではない事はすぐに分かるはずだ。でなければ百単位で互換性のないバージョンが登場していたはずであり、そうなっていたらその時点でWinnyネットワークは自壊していただろう。では何をやっていたのかというと、改修履歴を見る限りではほぼすべてが掲示板機能の改修と使い勝手の向上、要するにプログラマならば誰でも行う改良とデバッグに過ぎない。これをさも違法要素の増長の様に報道する各社の記事を見ていると、「当社の人材はかくも貧しい限りなのです。記事を書く者で技術的理解のある者はひとりもおりません」と宣伝しているかのようにすら思えてくる。誤った報道で何ら落ち度のない技術者を犯罪者であるかのように喧伝するのは、いい加減に止めていただきたい。マスコミの使命は事実と良心を守る事であり、無知を武器に司法の肩代わりをする事ではないはずだ。
最近のツールやアプリケーションは非常に高機能だ。少々知識があれば悪用できないものの方が珍しいのではないか。開発時点で、悪用できる事を開発者が知っていた事が犯罪に当たるとしたら開発を中止する以外に途はない。はっきりと意識していなくても、警察の取調室で刑事に睨まれながら「本当は知っていたんだろう」と聞かれてNoと言えるものなのだろうか?私には自信がない。もちろん、冤罪であれば裁判が覆して名誉を回復してくれるだろう。しかし、そのために失われた時間が戻ってくる事はない。そして、御存知の通り、人生というのはそんなに長いものではない。人権の価格が非常に安価な日本において、納得の行く賠償はまず得られない。開発を中止するか、人生を無に帰するか。情けない話だが、私なら迷わず前者を選ぶ。
もし今回の逮捕で有罪の結論が出れば、警察は技術者に対してフリーハンドで逮捕する理由を得る事になる。馬鹿な、そんな大袈裟な、そんな事になるはずがない、と思うかもしれない。だが、金子氏は「開発者が逮捕される事はないだろう」とも発言していたという。それを知って「考えが甘いんだよ」と思った人もいるのではないだろうか。さて、現実に起きたのはどちらだったのだろうか。事はWinnyのみ、金子氏のみの問題ではない。
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