Sun Set Days
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2004年08月12日(木) 夏のドライブ

 火曜日は結局夜まで職場にいて、後輩と2人でご飯を食べに行った。大画面でMTVが流れているレストランバーのようなところで、3人揃ったTLCの映像が流れていたりしてなんだか感慨めいたものを感じたりしていた。他にもUsherやMario Winansなどが流れていて、部屋のCDラックにも収められているそれらの曲は、やっぱり好きな感じのものだった(そして外出先でお気に入りの曲を聴くと、なんだか新鮮な気がしてしまう)。
 間接照明に淡く照らされたやけに天井の高い店内は夜が深まるにつれて徐々に混み合っていった。20時くらいに店に入り、結局0時過ぎまでずっと話していたのだけれど、4時間もよく話すことがあるものだと思う。けれども、実際にそれだけの時間話していて、笑ったりしているのだか確かに僕はよく喋る方なのだろうと思う。もちろん、相手もよく喋る方だからとは思うけれど。
 言葉はたぶん、結構よどみなく溢れてくるのだ。

 水曜日は、やはり朝から会社に顔を出し、残った仕事を片付け、15時くらいから今度は別の後輩と一緒にドライブに出掛けてくる。
 途中で、今週末で転勤する同じく休日の後輩を呼び出し、3人で。
 行き先は湖もある車で1時間くらいのところにある山で、僕の車で出掛けていった。
 急カーブの続く(ここはすれ違えないだろう!)と思ってしまうような山道をなんとか上りながら、周囲の光景にはとても魅力的なものを感じていた。細い山道の上を覆うような木々に、木々の隙間から見える小さな小川、途中で何度もその山を訪れているという後輩が「エアコンを止めて窓を開けましょう」と言うので窓を開けると、さっきまでの町よりも随分と涼しい風が吹き込んでくる。「体感温度が全然違いますよね」とその後輩が言い、もう一人の後輩が「気持ちいいですよね」と言う。
 確かに随分と気持ちよくて、運転に気をつけながらも、普段とは異なる光景に思わず見入ってしまう。

 しばらく走ると、木々の合間に湖を見下ろすことができる。最後に湖を見たのはいつだったろう? というようなことを一瞬思う。昨年釣りに行ったとき以来かもしれない。そんなふうに思って、なんだかあっという間に時間が経ってしまったような錯覚を覚える。
 湖畔にある無料駐車場に車を止め、湖に近付く。水に指を入れてみると、水は思いがけずつめたく、すぐ近くに浮かんでいるスワンボートやてんとう虫を模した奇妙なボートを見ながら、いかにも観光地的な雰囲気になんだかおかしくなってしまう。そこには随分と幸福な余韻のようなものが残っている。それは子供の頃に家族旅行で訪れた様々な場所の記憶と繋がっているかもしれないし、自分の中に眠っているそういう非日常の光景に胸を躍らせた子供の頃の感覚が一瞬だけ蘇ってくるからなのかもしれない。
 湖畔沿いの通りに並ぶ食堂やおみやげ屋や、貸しボートや貸し自転車の店。売店の軒先で風に揺れる「氷」の旗。斜めに傾いたソフトクリームの看板。遠くに見える小さなホテルや、描かれていた文字がかすれて読めなくなった色あせたベンチ。そういったものがすべて、はじめてじゃないような感覚を持っている。その場所に来たのははじめてだし、同じ景色を見たわけではないのだけれど、それでもそれらの光景を自分は確かに見知っていると思えてしまうのだった。

 それから周囲の山々の中でも一番高い山の頂上に向かって伸びているロープウェイに乗る。16時30分だったのだけれど、ちょうどのぼりの最終のロープウェイが出るところで、慌てて駆け込む。小さなロープウェイに後輩の女の子が「こわそう」というようなことを呟くと、すぐ近くにいた3歳くらいの女の子が「こわくないよ」と答えた。母親にだっこされていた小さな女の子がそう言ったことに周囲の人たちは笑い、僕らも笑った。女の子のおばあちゃんらしい女性は「○○ちゃんは強いもんね」というようなことを言っていた。絵本の主役にでもなりそうな、利発そうな小さな女の子。

 約300メートル上の展望台に出ると、さらに涼しく感じられた。くだりの最終のロープウェイが16時50分だということで、慌てて山頂の神社までいってそそくさとお参りをすます。晴れた日には遠く富士山まで見えるという展望台からは、薄い靄がかかっていたせいもあってそれほど遠くまで見通すことができなかった。清掃をしていたおじさんの話では、やっぱりきれいに遠くまで見えるのは秋だねとのこと。それも台風が過ぎ去った後とのことだ。へえと僕らは言う。そうなんですか。
 それにしても、と歩きながら思う。こんな場所では季節の変化がより濃密に繊細に感じられるよなと。
 くだりのロープウェイであっという間に下まで降りると、今度はおみやげ屋を覗いた。店に近付くとおばさんがお茶を勧めてくれて、飲んでみたお茶はしいたけ茶でしいたけが苦手な僕は思わずむせてしまう。そのおみやげ屋には20年前にタイムスリップしたかのような商品がたくさん置かれていて、さかさまにしても水がこぼれない不思議なコップなんていう安手の手品グッズまで扱っていた。その店では「よもぎひねり餅」を買う。久しぶりに食べてみたかったのだ。

 帰りはうどんで有名な場所(うどん屋ばっかりの場所があるのだ)に寄ったのだけれど、どこもしまっていた。後輩がたまたまいた店の人に訊ねると16時くらいに大量の観光客をさばいたあと、そのまま全部の店がしまってしまったとのこと。お盆ということもあって、従業員たちも早く帰りたがっていたしねと。
 せっかく来たのにと思いつつ、そういうところも地方の独特の感覚なのかもしれないと自分たちの町まで帰ってから食事を取ることにする。

 夜ご飯は、気になっていた創作ダイニングの店に入る。ちょうど食べきり食べ放題というイベントをやっていて、2500円でたくさんあるメニューの中から何でも90分食べ放題になっていた。それも、あらかじめ作ってあるメニューをビュッフェスタイルで取るような食べ放題ではなく、注文して出来たてを作ってもらえるというもの。
 これがものすごく当たりだった。メニューは最近流行りの創作ダイニングで、ローストビーフに、チーズの生春巻き、地鶏の黒胡椒炒め、ハヤシライスに、デザート(ジェラートや杏仁豆腐)まで、メニューの3分の2くらいの品物を頼んだのだけれど、どれもが平均点以上のおいしさで、新しいメニューが運ばれてくるたびにみんなで声を挙げていたのだった。
 また、店も個室に間接照明という最近本当に多いけれども雰囲気のよい店で、今度もまた来ようと話していたのだった。

 そして、一緒に遊んでいたうちの一人が今週で転勤するということで、最後は僕の部屋に遊びに来る。一度見てみたいという話になっていたのだ。部屋の中で後輩は引越し先の部屋でこのアイデアを盗ませてもらいますとか話していた。
 途中、これからテニスの打ちっぱなしに行くという別の後輩も顔を出しに来て、最後はみんなを送り出す。

 木曜日(今日)は3連休最終日。夜には後輩の送別会があるのでそれに参加。
 日中は、久しぶりに外に出ないで部屋でのんびりとしていようと思う。


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 お知らせ

 久しぶりに聴いているColor Me Baddのいくつかの曲は、結構懐かしく名曲だと思うのです。


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