Sun Set Days
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2003年09月17日(水) 『Moonlight Episode』

 今年の春に小説の賞に送ってみた作品はあえなく落選。片方は第一次選考までは通過したのだけれど、まだまだ全然というところ。でも送ってみてよかったとは思う。大体の目安になるし。

 そして、以前にもほんの少しだけ触れたのだけれど、地下水脈が流れるがごとく新しい長編を淡々と書いていて、それが少しずつ形になってきている。現在のところのコードネーム(と書くとなんだか次期OSのようだけれど)は『Moonlight Episode』で、記憶喪失になり夫のことを忘れてしまった妻と、夫の物語だ。夫のことを忘れてしまった妻は実家に身を寄せ、それでも突然妻を失ってしまった夫の気持ちは頭では理解できるから、一年間は会い続ける約束をする。そして、一年間経っても記憶が戻らずに夫を他人としか思えなかったら、離婚をすると話し合う。その二人の一年間の物語だ。それぞれの現在の時間(それぞれの生活、いくつかの出会いや別れ、そしていくつかの事件や出来事)に、一緒に暮らしていた過去の様々なエピソードを挟みながら、物語は進んでいく。ある種のやさしいユーモアと、切なさとの両方のトーンができるだけ入るようにして。
 それなりの分量のある物語で、来年の春までに完成したら、もう一度賞に送ってみようと思っている。
 たとえば、すごく好きな人がいて、あるいは愛している人がいて(恋人でも、妻や夫でも)、その人が記憶喪失になって自分のことを忘れてしまったら、いったいどんな気持ちになるだろうと考えてみる。もう一度同じように愛し合うようになるとは、よっぽど楽観的じゃないと思えないだろう。そんなに都合のよいことが現実に起こるとは考えづらい。
 たくさんのエピソードを重ねた二人が、もう一度白紙の状態に戻ってしまうということ。けれどもどういう結果になろうとも、そこから生まれるものはきっとあるはずと思って少しずつ書いている。


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 お知らせ

 今日はものすごく久しぶりにPhil Colinsの『Both Sides』を聴いています。
「Can't turn back the years」や「Everyday」はいい曲。


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