Sun Set Days
DiaryINDEXpastwill


2003年06月20日(金) 『流通戦略の新発想』

『流通戦略の新発想』読了。伊藤元重著。PHP新書。
 表紙の裏にはこう書かれている。


 IT技術の導入、外資系企業の参入、顧客ニーズの多様化、大手小売店の破綻……大再編が進む流通業界。成功し続ける企業は何が違うのか。森ビル、イトーヨーカ堂、しまむら、伊勢丹、丸井、ヤオコー、吉野屋、赤福、菱食──本書では、デベロッパー、百貨店から伝統産業、問屋まで、日本の流通業を盛り上げる10の企業の経営者を取材。「効率化の徹底」と「付加価値の形成」を実現する各戦略を鋭く分析する。
 流通業の動きをみれば経済の流れがわかる!
 最先端の現場が示す、日本経済・未来の図式。


 基本的には著者が上記に書かれている企業のトップと対談し感じたことを、流通業界全般のニュースや傾向になぞらえながら説明している本。流通業界のここ最近の流れを知るには格好の一冊だし、何より経営者の言葉にはやはり説得力がある。
 内容自体は業界紙誌を読んでいればどれも聞いたことがあるような内容なのだけれど、各企業毎の章でその企業が属する業界についても当然触れられていて、それがとてもわかりやすく、こういった新書としてはよくできているということなのだと思う。入門編や最近の流通業の潮流について知りたいというむきにはオススメ。

 印象に残ったところをいくつか。


「ネット上でインボイスもやり取りするわけですから、原価などが丸見えになってしまうんです。他の工場ではもっと安くやっているなどということがわかってしまいますから、相手側が二の足を踏んだわけです。ですから、相手側に『もうそういう駆け引きの時代は終わったんだから、すべてオープンでいこう。そのほうがお互いにとって得になるのだから』と説得するのに手間がかかりましたね」(88ページ)


 以前、関西にあるデパートの経営者から聞いた話だが、地下食料品売り場で大人気を博していたイチゴのショートケーキの売上げが少しずつ落ちてきたとき、その原因がわからずしばらく悩んだそうである。いろいろ調べてみた結果、使っているイチゴの品質をわずかに落としたことがわかた。案の定、イチゴの品質を上げてみると、元のように売上げが伸びていったという。このように、消費者は供給側がわずかな隙を見せると、たちまち拒否反応を示す。(182ページ)


 また、大型の商業ゾーンに専門店が多く集積することで、単独店舗ではなく集積として総合性を出せるようになっていることも、こうした動きに拍車をかけている。(188ページ)


─────────

 お知らせ

 何気ない話から同僚がクラシックのCDを3000枚以上持っているということを聞き、驚いたのでした。すごい。


Sun Set |MAILHomePage

My追加