Sun Set Days
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2002年08月20日(火) おんぷになりたい+人工衛星

 その町にも、やっぱり商店街があった。商店街の中央には、市内の様々な幼稚園の園児たちの作った七夕の短冊が展示されていて、その大半は「デジタルモンスター2ほしい」とか「ぽけもんがほしいです」とかだった。自分の子供時代のことは差し置いて、いまの子供は現金なものだなあとか思って見ていると、中に一つ「おんぷになりたい」と書いてある短冊があった。なんだか、びっくりした。よく新聞の家庭欄なんかに、子供の言ったりしたりする面白い言動を投稿しているコーナーがあって楽しく読んでいたのだけれど、そのことを思い出した。どうして、おんぷになりたいと思ったのか、それはもちろんまったくわからないのだけれど、そういうのを見たりすると、疲れってとれるよなとかしみじみとしてしまったのだった。音符になりたい5歳の女の子。うん、それは悪くない。


 これは、昔書いた文章を読み返していたらあった部分なのだけれど、本当にそう思う。
 人によってもちろんポイントは違うとは思うのだけれど(そして、同じ人でもそのときどきによって同じ言葉でもツボにはまるはまらないはあるとは思うのだけれど)、それでも確実に疲れがとれてしまうような、もやや霧が完全に晴れてしまうような、ノイズがかき消えて感じられるような言葉というのはあると思う。そのときの雰囲気とか、自分の心持とか、そういうものすべてのバランスを完成させる大きなパズルの最後の1ピースのような言葉。

 そういうのっていいなあと単純に思う。
 自分が言う(書く)のでも、誰かが言うのを聞く(読む)のでも。


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 その世界では、人は死んだら人工衛星になると言われている。
 人工衛星になって、何度も何度も惑星の周囲をめぐり、残された人たちを見守り続けるのだ。
 そして、何度目かの周回を終えると(その回数は人によって違う)、その人工衛星は役目を終えたように夜の海をめがけて落ちていく。
 そして、海の一番深いところまで沈みきったあとで、また生まれ変わることができる。

 そう言い伝えされている。

 その世界のなかにある「和」という国では、一年の中の月に盆という行事があって、その日には空から無数の人工衛星が海をめがけて落ちて行く姿を見ることができる。

 残された人たちの想いと、失われた人たちの想いが一番近くなるその日、新しい命がたくさん生まれる。

 
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 お知らせ

 今日の久しぶりCDはSQUEEZEの『SQUEEZE GREATEST HITS』。
 01年に本格的に解散してしまった(らしい)イギリスの20年以上活動を続けていたロック・ポップ・バンドのベスト盤。
「Another nail in my heart」とか「Is that love」とか「Love Circles」とかいい曲。
 シンプルで、ちょっとだけウェットなポップソングが得意なグループで、「珠玉の」という言葉がつきそうな感じ。
 ベスト盤自体の発売は93年10月発売。
 懐かしい。


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