創造と想像のマニア
日記というよりもコラムかも…

2005年07月05日(火) いしいしんじ。

職場の仲間にすすめられて読んでいるのですが、かなりツボでした。現代文学でもあり、童話でもある物語。ただ優しいのではなく、残酷な部分もあったり、その時は気付かない自分の恥ずかしい行動だったり…心温まる部分も沢山あるけれど、普段の何気ない残酷な部分が描かれているのが凄くいい。
単なる童話ではないのがいい。
読んでいるのはYonda?のフェアになっている「ぶらんこ乗り」です。この人の本で文庫になっているのはこれだけなんですよね。中島らもとの対談集は文庫になってるけどね。物語では「ぶらんこ乗り」だけ。しかも、これ単行本の方は別の出版社からなんですよね。狙っているいしい作品も同じ出版社から出ているからそれも文庫は新潮社からなのかな。だといいんだけどなぁ。
気になっている本は「プラネタリウムのふたご」と「麦ふみクーツェ」の2作品。両方ともかなりいい感じなんです。表紙も、物語も。

今読んでいる「ぶらんこ乗り」ですが、幼い弟が残した物語を綴ったノートを高校生になったお姉ちゃんが読むという話。まだラストは解らないんだけれど、それは楽しい思い出ばかりじゃないんですよね。弟が奇妙な病気になってしまい、声を出さない生活になる。声を出すと周りの人たちが吐き気を…そして動物たちは仮死状態になってしまうので、弟はお父さんが作ってくれた庭のぶらんこに乗って過ごす。学校でも人気者だったのに、友達はいなくなり、あげくのはてには罰ゲームの的の対象になってしまう。
その中で、彼がずっと綴っていた物語や、自分の思い。
大きくなってから読み返すそのノートたちは当時幼かったお姉さんには辛い記憶となる。結構気付かずに酷い事をしてしまっているんですよね。きっと沢山傷ついただろう弟の気持ちを思うとひねくれもせずに、素直に、純粋に生きている彼に対して愛しさを感じてしまいます。
子供の頃にこの物語を読みたかったという気持ちもあります。もし読んでいたらどんな気持ちになったんだろう。そして、大人になってから読んだ時の感想との違いを感じてみたかったなぁ…なんて、まだ読了していないけれど、そんな事も考えたりした。もうすぐ読了するので、次の本を手に入れよう。


 ←昨日  目次  明日→


未森

My追加