創造と想像のマニア
日記というよりもコラムかも…

2005年06月03日(金) 蝶狩り−五條瑛

先日購入した五條瑛の新刊をゆっくり読んでいます。一気読みするには勿体無いような気がして。
話が続いていますが、短編集なので、区切りをつけて読みやすい。
相変わらずこの人の描く世界が好きです。好きというか、引き込まれる。
シリーズ物じゃない話も好きですが、やはり私はシリーズ物の方が好きだなぁ。元々シリーズ物の方が読みやすいのかもしれませんが、五條瑛の作品はシリーズ物だとより一層あの世界が深く描かれているので、いいんですよね。「生きている」という感じが。
ん〜「生命力」を感じるのです。他の作品だとここまでの生命力を感じる事がない。必死に生きるというだけでなく、目的があって、そこに必死で向かっている様が好きなのです。私が読んでいる本がそうじゃないのばかりだから余計に惹かれるのかもしれません。流されるように生きていく物語が嫌いなわけではないけれど、そればかりだと「お前どこまで受身やねん!」ってイライラしてしまうから。
書いている人自身がとても受身だから受身な話しか生み出せないのかも。例え巻き込まれたとしても、そこから自力で這い上がろうとする強い気持ちを描いて欲しいな…とたまに感じます。
受身だからいいのかもしれませんが。
五條さんはとても攻めな人な気がします。
以前に作家さん同士のチャットを拝見した事があり、五條さんととある作家さんのチャットだったのですが、五條さんは本当に何事にもポジティブで、サバサバしているんだけれど、男らしいのではなく、女なんですよ。だからといって女々しいわけではない。メスを使ってはいないんです。だからこそああいう小説を生み出すんだな…と感動しました。とても前向きに生きているし、小説の中の登場人物たちのように必死で生きている。
「プラチナ・ビーズ」がどうして生まれたのかも解ったような気持ちになったりもした。今の日本人が忘れてしまった事、平和ボケしているけれど、水面下で、見ようとしていない場所では決して平和ではない部分を知っているから、それを描いた。きっと戦争が終わった頃の日本人はこんな感じだったのかもしれない。なんて考えたりも、自分が必死になっていないゆるゆるな場所でゆるゆると生きている事を思い知らされる。いや、知っていたけれど、知らないフリをしていただけというのか。
愛国心も薄れていき、政治にもあまり関心を持たない人が増えて……
勿論そうじゃない人もいますが、でも、私を含めて殆どの人がそんな感じなんだろうな。愛国心がないわけではないけれど、他の国の人を見ていると、自分には愛国心というのはあまりないなと感じるわけです。
そんな時に五條瑛作品を読むと自分って浅いな…と更に再確認をしてしまい、もっと攻めで生きたいなと思う。
じゃぁ、どうすればいいのか。というのは解らないのですが(苦笑)


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未森

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