君と私の間に、
「相手が決めたことには、反論しない」
という暗黙の了解がある。
でも、今度ばかりはそのルールをあえて破ろうと思う。
私はちゃんと覚えていた。 君がこのハードルが多そうな恋に踏み切ろうかどうしようか悩んでいた時に、
「やばくなったら、言ってね」
と言っていたこと。
私だけの偏った判断ではなく、君を心配する友人達の意見も聞いて、 みんなで君が今、そのやばい時期だと判断した。
彼の家族想いがゆえに、 君だけに目を向けられないことや、 ちょっと幼稚だと思われる数々の言動。
そのあたりは今後二人で関係を育む上で、 クリアしていけるだろうと思った。
でもね。
今回のことだけは、 どうしても「ただそれだけのこと」とくくれない色々な要素を含んでいると思ったの。
二人で祝う、初めての君の誕生日。
その大事な日への心の入れように私は不安を感じた。
高級な店を予約しとけなんて言わない。 居酒屋やファーストフードだっていいと思う。 カード使うとか、誰かにちょっと借りるとか。
策はいくらだって取れたはずなのに、 彼があっさり、割り勘を選んだことに。
更に、あまり日が開いてない自分の誕生日には、 4万円のゲーム機をねだる。
ねぇ、冷静になって。
同棲をする時に、 一番問題となるのは、金銭面だと思う。
結婚をする時の重要な事柄の一つに、 互いの金銭感覚が近いというのがあると思う。
これはたぶん、 君が一番結婚相手に望んでいたことではなかった?
ねぇ、冷静になって。
別れた方がいいなんていわない。 ただ一緒に住み始めるには、時期が早いような気がした。
このままだと彼だけが子どものままで、 君だけが苦労する結果になると思う。
ねぇ、ちょっとだけでいいから、 色々悩んだ末に出した結論だって知ってるけれど、
同棲を一番勧めていた私が、 今になってとても無責任なことを言うけれども、
もう一度だけ、 考えてみてくれないかな?
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