解放区

2012年02月04日(土) ボヘミアン ラプソディ

数か月前に、友人から「クイーンのCDを貸してほしい」というメールが来た。「意外なことにてめえはクイーン全く持っておりませぬ」と返すととても驚かれた。高校の時からの友人なので、てめえがかつて洋楽狂いだったのを知っているからだろう。



洋楽好きだった父の影響で、てめえは物心ついた時から洋楽ばかり聴いて育った。父の趣味はオーソドックスにビートルズにサイモン&ガーファンクル、そしてCCR。そんな環境だったのでてめえも自然と洋楽中心に音楽を楽しむようになっていた。

はじめはビートルズだった。とはいっても、父が持っていたのは初期の数枚のレコードのみだった。彼は特に「HELP!」が好きだったようで、カセットテープに録音してカーステレオでいつも聴いていた。

そのうち、家にあった数枚のアルバムを繰り返し聞くだけでは物足りなくなってきた。

てめえはひそかに小学生の頃から新聞配達をして小銭を稼いでいたので、貯まったお金でビートルズのアルバムを買い集めた。初めて買ったLPは「イエローサブマリン」だったと思う。なぜこれになったのかはよく覚えていないが、B面が全てインストでとてもがっかりしたことだけはよく覚えている。この頃、アルバムは1枚3200-3600円だった。

始まりはビートルズだったが、そこからいろんなジャンルの音楽に親しむようになるまでに時間はかからなかった。上記のようにレコードはいい値段がしたので、ここぞという時以外は購入もできず、普段はレンタルレコード屋に行きレコードを借り、テープにダビングして楽しむしかなかった。


てめえが中学生に入る前後くらいにCDというメディアが登場し、あっという間にレコードを駆逐した。てめえも稼いだ小銭でCDプレイヤーを購入した。CDの再生機能だけだったが、まあいい値段がした。自宅のステレオに接続して初めてCDで音楽を聴いたときの衝撃は忘れない。レコードと異なり、何の雑音もなくいきなり音楽が始まったからだ。

今思えば、よい時代に巡り合ったのだと思う。CDがあっという間にLPを凌駕したため、CDにとってかわられたレンタルレコード屋のレコードがタダのような値段で売りに出され、てめえはありったけのお金を出してレコードを買い漁った。

ほとんどただのような値段だったのでジャケ買いもたくさんした。音楽が趣味に合わなくてもレコードジャケットをポスター代わりに壁にでも張っておこうと思ったのだが、ジャケットが素晴らしいアルバムはほとんど外れがなかった。そうして出会ったのがキングクリムゾンやピンクフロイドなどだった。

  


CD全盛期になっても、良い時代は続いた。物品税が廃止になり(代わりに消費税が導入されたが)、CDが安くなり求めやすくなった。そんなわけで、中学生時代は洋楽ばかり聴いていた。


そんな中でてめえが唯一通ってこなかったのが「クイーン」である。全く通ってこなかった。もちろんヒット曲はそれなりに知っている。だが上記の経緯を考えると、てめえがアルバムを一枚も持っていないのはあまりにも不自然だ。

なぜなのかよく考えてみた。到達した結論は「フレディが生理的にダメだ」という何とも言えない結論になってしまった。生理的にダメだったらどうしようもないだろう。

いや、どうしようもないものか。別に明らかに避けてきたわけではない。無意識に通ってこなかったのだ。そう、無意識に。通ってこなかった理由も、よく考えなければ到達できなかったではないか。

というわけで、さっそくベスト盤をレンタルして借りてきた。何とも気乗りがしなかったが通勤途中にしばらく聴いてみることにした。

するとどうしたことだろう。見事にずっぽりとはまってしまったのだ。変幻自在に縦横無尽に駆け巡るフレディのボーカルも素晴らしいし、ブライアンメイのギターも素晴らしい。楽曲も悪くない、というより、世界中で愛されているだけあってとても素晴らしいではないか。なんということでしょう。とんだ食わず嫌いだったわけだ。

そうなのだ。耳だけで聴けば素晴らしいのだ。ということは、「見なければ」良いわけだフレディを。いやそういう問題だろうか。

というわけで、youtubeで「見る」ことにしてみた。いやあ良い時代になったもんだ。てめえが中学生の頃なんて、プロモーションビデオなんてボーリング場で100円を入れてみるもんだったぞ。

というわけで見てみたが、やはりキモい。すがすがしいほどにキモい。突き抜けている。これはこれですごいな。





さて、ボヘミアンラプソディで引っ張ってみる。この曲が何よりも素晴らしい。こんなに素晴らしい曲だとは正直認識していなかった。曲の組み立ても素晴らしいし、縦横無尽なボーカルもギターも素晴らしい。歌詞も一つの物語として不思議なほどに完成している。願わくば、死ぬ瞬間にはこの曲を聴いていたい。そう思わせるくらい大好きになってしまった。


デーモン小暮+森公実子。それぞれは素晴らしいのだが全くマッチしていない。てめえにはデーモンがぶれている(周りにつられそうになっている)ためだからにしか思えないが、いかがでしょうか。




エルトンジョン+アクセル。エルトンも素晴らしいが、願わくば前半もアクセルのボーカルで聴きたかった。アクセルがステージに転がり込んでくる瞬間の映像を見た時には思わず鳥肌が立った。



さて最後は一人クイーン。NY在住のRichie Castellanoさんだが、素晴らしい完コピぶりに感動した。ここまでやられるととても気持ちがよい。




「ボヘミアン・ラプソディー」について(小池 芽生)


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