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2003年07月27日(日) Factory16(樺地・跡部)


 どっか行きてぇなぁ
どっか・どこ・何処、どこかってどこだろう。お母さんの言う「どこか行きたいわねぇ」のどこかと同じ所だろうか。
 あーあって欠伸をする、跡部さんはとても退屈そうです。
 お前どっか行きたいとこねぇのか?樺地
ありますよと言う。
 どこ?
 宇宙
跡部さんは樺地も冗談を言えるようになったのかと笑います。
 あとどっかねぇのかよ
 砂漠
なんだそれ童謡かと跡部さんは言います。言った後で、お前本気なの?と目をパチパチさせる。
 それはなかなか行けねぇなぁ。宇宙に行くのには何億何兆ももかかるんだぜ。それに宇宙は空気がないんだろ、身体がパンパンにはじけて死ぬんだ。それに砂漠はな、方位磁石を狂わせる砂嵐が起きて、道が分からなくなって迷って喉が渇いて死ぬんだ。
 跡部さんの口からは死ぬことばっかり出てきます。死んじゃう人ばっかりじゃありませんよ。人は砂漠ばかりのシルクロードを旅したし、宇宙飛行士は帰ってきている人の方が多いのです。どんなところだか、テレビや写真でしか知りません。でもどちらもとても広くて静かな気がする。人の姿も見えなくて、声も聞こえなくて、きっととても静か。
 もっとさぁ、行けそうなところ言えよ。具体的に
跡部さんが言います。具体的って言われても。何をどう答えればいいのか。
 中学生が行けそうなところ
跡部さんが続けます。これは広すぎて難しい問題です。うーんと黙って考えていると、あぁもういいと叫びます。
 お前の答え待ってると夏が終わる。俺が決めてやる
 そんな風に言わなくてもちゃんと聞こえます。動物は大きな声で威嚇する。ここにいるんだと大きな声をあげて縄張りを主張するそうです。跡部さんが時々大きな声をあげるのは、跡部さんがここにいるぞって言いたいからかもしれません。そんな事しなくても、ライトが目に飛び込んでチカチカするみたいに、はっきりしているのに。
 それにしても跡部さんが決めたところに行って、それで跡部さんは何が楽しいのか。そう訊くと跡部さんはぎろぎろとこちらを睨みました。
 お前につきそってってやるんだよ
もう中学生なので大抵のところは一人で行けます。注意してあげようと思いましたが、どこがいいかなぁと言い出す跡部さんは退屈さがなくなってきて、たいへん楽しそうです。
 いいですよ、ついてきても。でも荷物は俺が持つのかな、また。







☆どっかいきたいのは私だよ・・・☆




 

 

 

 

 

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樺地景吾
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