++ diary ++
- 諸行無常 -
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亡き友の訃報を聞いた。
過日7月1日13:35永眠。
第三者を通じてオレを兄のように慕ってくれたと聞かされ続けた彼に逢えたのはたった一度。
オレは何も施せず何も思いやれず彼は孤独に釈迦道へ発った。
故妻死後様々な訃報を背に聞き、感じる事、思う事が多い数年間、身の程を知る自分の愚かさ、偽善的な施し、情けなさを感じる事が多かった。
彼は医師の通告よりも長生きできただろうか。
彼は心残りが多かった。
きっと。
死を間近に恐怖と対峙する毎日の中で恵まれないその置かれた家庭環境をうらんだりしただろうか。
人にはそれぞれ置かれた切ない出来事があるもの。
彼にも例外なくそれがあっただろう。
彼の事について知っている事は少ない。
しかしながら彼がオレにくれた言葉は数多い。
彼は故妻同様、死の直前まで気遣う心を忘れない人だったように思う。
先月から数回彼の携帯に一方通行なメールを送り続けたが、その返事が無い事で体調を窺い知ることが出来た。
彼は見えていた。
きっと見守る周囲の人たちの励ましの声や言葉を。
体が言うことを聞いてくれないと人伝いに聞いた。
彼は家族に看取られ発っただろうか。
いまから残りの42日は現世に居る。
彼の亡骸から彼の魂が色々な人に挨拶に行くだろうか。
おれは良くない出来事の前ぶれには必ず、スズの音や線香の匂いがどこからともなくする。
霊感の一種だと思う。
今までもそれを感じてきた。
今朝訃報を聞くホンの数分前に、密閉された車の中に線香の匂いがした。
虫の予感だった。
彼が当地に来たいとずっと言っていた。
彼は美味しい蕎麦を食べたいと言っていた。
釣りがしたいと言っていた。
山の空気が吸いたいと言っていた。
彼との最初の出会いはオレの貰い事故による過失説明からだった。
彼はそれ以来、オレに尊敬と言う言葉をよくくれた。
そんな器ではないオレに彼は敬意をくれたんだ。
彼は孤独だったに違い無い。
彼と同じ病を患う、当地の友達はかれこれ3年以上現状維持を続け社会復帰も果たしている。
彼にもその話をよくしていたせいで、彼はその友達への気遣いも忘れずにメールがよく来たものだった。
彼はほぼ不治のままこの世を去った。
故妻と同じくして、死を宣告された後に何を思っただろう。
「生きたい」その気持ちをどこに表していただろう。
そんな気力すらもう霞んでしまっただろうか。
彼の目を落とす瞬間、彼には何が浮かんだだろうか。
彼のし忘れた事は何だっただろうか。
彼は釈迦の道に修行に出るまでの間、オレの夢枕に立ってくれるだろうか。
彼にオレのわずかな勢いは届いただろうか。
手を合わせる事しか出来ない愚かな自分に幻滅する今と言う時間。
せわしく進むこの月、時間を頭の中を雑踏で荒らされた脳の中を彼の事を弔う気持ちで白くした一瞬。
死とは人に衝撃を与えるのではなく、戒めと改めの心を授けてくれる。
死が無駄に過ぎ去らない理由を見出すことの出来る大きく寛容な人へ昇華していかなければならない。
身近な人、「あきら」と言う人間の死に、オレは思う所がある。
今日と言う日に訃報をくれた友へも感謝しつつ、また彼の訃報に対しても心から冥福を祈り、手を併せ、彼の天界への浄化を先ず祈ろう。
痛みを感じない世界へ発ち、少しは楽になれたかい?
長い間頑張ったね。
辛かったね。
孤独だったね。
人は魂を持って生きるもの。
彼に、彼の魂に心から穏やかな時間が与えられる事を祈る。
お疲れ様。
そして頑張った君にはきっと恵まれた転生が待っている。
そして今度こそ共に毎日を楽しめるよう願う。
7月7日、奇しくも七夕。
当地は雨。
彼を想う弔いの涙と共に。
toto
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