++ diary ++

- 諸行無常 -

日記の表紙に戻る過去の日記新しい日記


2003年07月14日(月) 親父と轍と人間不信:1

俺は夜逃げを経験した事がある。

昔14の頃、オヤジが事業を倒産させた。

事業その物は上手く行っていたのだが、「融手」が災いして連鎖倒産に追いやられた。

オヤジは3度の飯より喧嘩が好きで、良くヤクザと朝風呂に行っては喧嘩して帰って来ていた。

その半面人が良くお人よしで面倒見が良い為、そこを突かれ、融手を良く強いられていたらしい。

融手と言うのは手形を空切りし、先へ回す為の物で、取引先が資金繰りに困った場合に

良く頼まれていたらしい。

結果オヤジの事業は当時の金額で約3億の倒産になった。

時代金額に換算したら相当な金額の倒産だったろう。

当時オヤジの会社でしか使えないスウェーデン製の機械などを扱うなど

特化していた事もあり、問屋は面食らった所が多かった。

そのXデーに、俺は兄貴と妹と一緒に母方の祖父母の家に夜逃げする事になった。

荷物など持たずにただひたすら、焦るオヤジの顔が今でも頭に焼き付いている。

オヤジとオフクロはバラバラの所に散っていった。

どれくらいバラバラに暮らしただろうか。

やがて、学校にも行かなくてはならなかった為

おれは自宅にこっそりと忘れ物などをとりにいった。

心と頭の中が騒然とした。

会社名は介入整理のヤクザが作った社名に変わっていたし

自宅には知らない人やヤクザが居間でお酒を飲みながら花札。

俺は自分が夢を見ていると思った。

当時はまだそれほど喧嘩という喧嘩も無く、普通に友達ともみ合う位でしかなかった喧嘩だったが

この時を機会に変わった。

兄貴の同級生、柳沢君は(元々やくざの息子だった為、その後やくざになった)

兄貴と俺には優しかった。

周りの反応も違って、俺にはあの兄貴とあの友達がいると言う事で

いささか距離を置いていた気がする。

でもクラスの友達の反応は違った。

俺の家は元々、学校が企業見学に来るような会社だったので、多少有名だったせいもあり

「あいつんち、倒産したんだって」

「あいつんち、やくざいるらしいぞ」

そんな言葉がひそひそと聞こえ始めていた。

訳も解からず口にしていたとは言え、余りにも怒り心頭な毎日だった。

ある日、そんな気持ちが爆発した。

喧嘩をしまくった。

そんな言葉を口にしている奴に、片っ端から喧嘩を売った。

元々短気だった俺は喧嘩し出したら止まらなかった。

その当時兄貴はどんな生活を毎日送って居たか解らない。

でもおれよりは少なくとも温厚に過ごしていただろう。

そして前歯が差歯になり、右目の淵はヒーターに、左目の眉はコンクリートの柱にお歳暮代わりに贈呈し、顎は切り跡を石畳にお中元、膝には縫い跡を川岸にくれてやった。

おまけに腕も昔骨折していたおれは、自棄になっていたとも言える。

そんなある日の15の冬。

おれの友達のコマツ君(クラスの中でかっこ良く、不良で喧嘩が強い、ナイスガイだった)が裏の池で

リンチにあうと言う噂が流れた。

目立ち過ぎるといつもこういうのが付き物なのが学生時代だ。

おれは当時一緒に通学していた友達と助けに行こうと

躍起になっていた。

でも、その友達は尻ゴミしてしまい、いかないと言い出した。

おれは一人でも行こうと思っていたが、相手の人数が相当多かった事を

後で知ったものの、結果的には行く事が出来なかった。

後で知ったが事なきを得たコマツ君は無事に戻り、俺とその友達の間には

溝が残った。 

コマツ君とは何も変わらなかった。

助けにいけなかった自分が情けなかった。

コマツ君とは卒業以降逢って居ない。

風の噂に、柳沢君たちとつるみ始め、チンピラと化して行ったと聞いた。

彼はヤクザもんが にあわない。

彼は良い表現で取れるなら「不良」だ。

全てがかっこよかった。

やがて、友達と思ってた人間に裏切られる事で軽い人間不信になった。

それから友達は作らなくなった。

後に高校受験をし高校に行き始めるまでは。。。


 


toto