I wanna C U - 2004年04月24日(土) 病院に着いたのは三時過ぎであった。 母親と妹と友人が控え室で待っていた。 待つことと語ること、この部屋での選択肢は二つしかなかった。 ましてや身内でもない自分が軽々しく面会できるはずもなかった。 予断を許さない状況であるから、それは覚悟の上だった。 一つだけ、できることを見つけた。 彼女のアパートに行って携帯を復旧させ、恋人に連絡を取ること。 たった三日で転院を二度繰り返したために遭難同然だったのだ。 アパートを知る友人と共にお茶の水から秦野へ向かった。 そして無事に恋人と連絡を取り、駅で落ち合う約束をした。 しかし、最後の審判はあまりにも突然で、無情に下された。 約束を取り付けた直後の電車内で受けた報せは、 生還へのわずかな望みを断ち切るものであった。 僕らの使命が一刻も早く恋人を連れ帰ることから、 彼に事態の急転を悟らせないことに変化した瞬間だった。 全てが間に合わなかった。 一連の出来事はそう形容せざるを得ない。 ここ数日のことに限らず、数年単位で後悔が湧いてくる。 耳障りな喧噪に憤慨して激昂したとしても、 あながちお門違いとは言えなくはない。 ただ、今は全ての感情を留める他なかった。 そんな思惑をよそに、彼女はまだ生きている。 傍らで僕らは再び目を開くことを祈っている。 容態の変化を告げる電話は幾度となく鳴り、 その都度、無力感に苛まれるが、 絶望にはまだ早い。 それだけを信じている。 あの声を待っている。
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