ICU - 2004年04月23日(金) 彼女に最後に会ったのは三年前だった。 バス停での邂逅。弾ける元気に変わりはなく、 嬉々として捲し立てる声は僕を幸せで包んだ。 「先輩。」 これから先もずっとそう呼ばれ続けるのだろう、 そう信じて疑うことはなかった。 それからは時折メールや電話のやりとりをしていた。 昨年の宮城県は立て続けにひどく揺れたから、 その度に安否を気遣うメールが届いたものだった。 どこで聞いたのか、誕生日のお祝いのメールを欠かすこともなかった。 それがどういうわけか今年に限って止んでいたことを、 今からすれば不思議に思うべきだったのだ。 不意に電話で起こされた。 「お姉ちゃんが危篤なんです。」 眠気は一瞬で吹き飛んだ。 しかし、要領を得なかったせいで、よく意味が飲み込めなかった。 ただ、唯一伝え聞いた病名と“東京の大学病院のICUにいる”、 その事実だけが事態が切迫していることを端的に示していた。 そして、逡巡する間もなく新幹線に乗った。
|
My追加 |