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2001年10月16日(火) 微妙な距離。(1年。その2)

初めてづくしのやすくんとの旅。
フェリーに乗って、三重県は鳥羽市へ。
朝早く…正確には夜明け前…やすくんの部屋を出発したから
フェリーに乗ってしばらくすると、
やすくんはベンチに座って、何だかウトウトしてた。
通勤電車で眠った人みたいに、
体が傾いてくると、ふっと元に戻る。

 私の方にもたれて眠ってもいいのに

と思うのだけど、なかなか言い出せない。
近くにいるのに、なんだか遠い。
気づいたら、もう港に入っていた。


車に乗り込み、やすくんがなぜかものすごく行きたがってた
伊勢神宮へ向かう。
初めてのデートがお泊まりってのもすごいけど、
その行き先が神社ってのも、
ある意味すごいと思うのだが…
駐車場に着くと、外は雨。

「濡れちゃいけないから」

と、やすくんは自分の上着を私に貸してくれた。
初めての、やすくんのジャケット。
そして、傘。

傘のせいで、微妙な距離ができる。
相変わらず手を繋がない、繋げない私たち。

伊勢神宮までは「おかげ横丁」とかいう
ちょっと昔風の町が続く。
ものすごい人混み。
お客さん同士の傘がぶつかりあって、
なかなか前に進めない。

「ちょっと。ごめん」

いきなり、やすくんが自分の傘を閉じて、
私の傘に入ってきた。

「傘でなかなか前に進めないんだ。
 だから、ここから1本の傘で行こう。
 濡れちゃいそうなら言ってね。」

突然の相合い傘(古いなあ)。
背の高いやすくんが傘を持って、
それにくっついて歩く私。
私が濡れないように気を使いながら、
傘の角度や向きを変えてくれる。
そんなやすくんの反対側の肩は
滴が落ちて、濡れてる。

「私、大丈夫だから、濡れないようにしてね」
「大丈夫。俺、多少の雨ならなんともないから。
 それより、大丈夫?冷たくない?」
「うん」

そう。
この時、まだ私たちはお互いの名前を呼び合ってもいなかった。
「ねえ」「あのさあ」って呼ぶだけ。
名前で呼ぶのが気恥ずかしくて、
できるだけ名前を呼ばなくてもいいように
話を進めてた。
うーん・・・・我ながら、高校生みたい。

時々人混みで離れそうになってしまうと、
すっと肩に手を回して、離れないようにしてくれる。
私を守ってくれてるみたいで嬉しい。
でも、
その手はほんの一瞬だけ。


名前も呼べない、手も繋げない。
そんな私たちが1つの傘で、
神様の前に進んでいく。


伊勢神宮の内宮の本殿(という言い方は正しい?)前で
2人でお祈り。
「楽しい旅になりますように」
「また、2人でここに来れますように」
と祈った。

やすくんは、なんて祈ったの?
心の中で聞いてみるけど、
答えは返ってくるはずもない。


こんな私たちを神様はどう見たのだろう。


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