飲みに行って、御機嫌で、コンビニで夜食買って、家に帰って眠る前に、メールチェックしようとしたとき。 PCの起動音に紛れて、叫び声。 猫か、と思った。
「……悲鳴?」
「違うだろ」
「いや、でも、今、女の人の声……」
ランディが外を窺う。
「ありゃやばい!行って来る!」
と吠えて、Tシャツにトランクス姿だったが、急いでズボンだけ穿いて出て行った。 わたしはわけがわからないまま110番に通報。 その後、すぐに、外に出て行ったら既に警官が来ていた。 怖ろしく速い。通報の電話を切ってから一分経ってないんじゃなかろうか。 警察署が近いのもあるだろうが、通報したのはうちだけでは無いのだろう。 若い女性が泣きじゃくっている。
「なにがあったんですか」
と、警官に尋ねたら、警官は、女性の肩を抱きながら、
「大丈夫大丈夫。酔っ払いに絡まれたらしいですね」
女性の袖口に、僅かに血がついているように見えたが、大きな怪我はしていないらしい。 が、痛々しいほどふるえている。 しかし、部外者が、事情を深く尋ねることは出来まいと、部屋に戻ろうとしたとき、別の警官がやってきた。
「すみません、ここらへんで女性の悲鳴が聞こえたと通報があったんですが」
「あ、通報したのはわたしですが、女性はもう向こうで、別のおまわりさんに保護されてます」
「あなたが通報してくださった方?」
「はい」
で、通報したときの状況を説明。
わたしが悲鳴を聞き、ランディが玄関から外を見て、女性が必死に走っているのを見て外に飛び出し、わたしがそれを通報した、と、説明した。 ランディも、女性に絡んでいた酔っ払いとやらを見たわけでもなく、既に、女性は近くの公園で事情聴取されていたので、それ以上説明することもなかろう。
「ちょっと、近所でこんなことがあると怖いので、パトロール増やしていただけませんか」
と、お願いし、うちに入ろうと、階段を昇ろうとしたとき、犯人追跡のためか、保護した女性を迎えにか、パトカーがサイレン鳴らしてやってきた。
「いやー、大事にならなくてよかった」
階段の踊り場でそれを見ながら、うんうん頷くランディ。
「……うん。でもな、ランディ、これから、ああいうことがあったときは、靴履いて飛び出せ。あと、上着と携帯もあった方がいいと思うぞ」
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