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2004年01月03日(土) 温泉に旅行〜その1

【前置き】
本来なら、差し障りは無かったはずだったのですが、故あって、地名を伏せさせていただきます。
なので、途中で出てくる会話も、元々は方言ですが、標準語訳しております。
デジカメ画像も、一部、元の色が判らない程度に加工しております。
【前置き終わり】


観光地から、僅かに離れたところにある旅館。
『お客さまの我儘に対応出来ます』ともあったので、予約時に、
「主人が、体質的に受けつけないので、海老はお料理から抜いて戴けますか。それと、なにか鮑のお料理をお願いします」と言っておいた。

途中、道に迷ったが、宿に何度か電話を入れて道を尋ねて漸く辿り着いた。
愛想のいい主が出迎えて、荷物を持ってくれた。
宿帳を書いた後、先にお風呂に入りたい、その後で食事、と頼んだ。
部屋に金庫が無いと言うので、風呂に入る間、フロントに財布等を預けようとしたら、仲居さんが、風呂場は貸切に出来るから、御心配なら持って行ってはどうか、と言う。

脱衣所の壁に、貼り紙。

『夜10時までにお入り下さい。温泉が出なくなります?』


なんで疑問形なんだ、と、疑問に思っていると、和服どころか、思いっ切り普段着姿の中居さんが風呂場から手招きする。
「こんなもんでどうですか。湯加減御覧になって下さい」といわれ、湯船に手を突っ込み、OKを出した。
そして、思い切り普段着の中居さんが言うことには、

「熱かったり、ぬるかったりしたら、調節なさって下さいね」

水道水の出るカランやシャワーはあるが、湯船に注ぐ湯水の蛇口が見当たらない。
何処をいじればいいんだろうと思っていると、仲居さんが浴場の窓を開けた。
正面には、何故か年代物の洗濯機。
洗濯機と壁の間に、身を乗り出して、下を見ると、バルブがふたつ。片方が水、片方がお湯だから、と言う。
素っ裸で、窓開けて、自分でお湯と水が出るバルブを捻れ、と。
つまり、目の前の洗濯機は、目隠しなのか。
まあ、洗濯機の向こうに見えるのは、なんでこんなに高いんだ、と思えるほど高い塀だし、人に見られることは無いんだろうけど。

隣の風呂に行ったと思ったランディが脱衣所にやってきた。

「こっちで一緒に入れると言われたんですが」

仲居さんは、

「はいはい。貸切に出来ますので。どうぞ、中から鍵をかけて下さい」


……鍵ってこれですか?


とりあえず、無いよりマシと鍵をかけ、脱衣所と浴場を隔てる戸は開けっ放しで、財布入りバッグを見えるところに置いた。

狭い家族風呂でも、うちよりは広い。
それに、なにはともあれ、温泉だ。
調節の仕方も教えてもらったことだし、ぬるめ→熱めへと温度を変えてみたりして、ゆっくりと浸かって、上がろうとしたとき。

仲居さんの声。

「あら。今、上がられたみたい」

つづいて、宿の主の陽気な声。


「前通ったら、はぁはぁ言ってんじゃないのか?」


――聞こえるようなところで、客に関する、しかも下世話な噂話を、主自らしてんじゃねぇ!
更に、当然ながら、

言ってねえ!!!!!!


風呂場のすぐ近くがフロントじゃねーか!

そうでなくたって、大体、こんな


「TRICK」に出て来そうな、余りに昭和懐古的な、隣の部屋の物音も筒抜けな旅館で、風呂・飯・睡眠以外のことをする気になるかーーーーー!!!

仲居さんたちには、ぽち袋に入れて、心づけを渡したが、このオッサンには、なにがあっても絶対に渡さないと決意した。
到着から90分で、リピートの可能性はゼロ振り切ってマイナス。
古いとか、判り難い場所にあるとかは、安いので相殺出来るが、そこで働く人間の人格までは無理。

それでもまあ、折角の旅行だ。
気を取り直して海の幸――と、思ったら、いきなり海老が運ばれて来た。

海老抜き、鮑つき、と、あんだけ言っといただろうが!

「あ?海老はいらないって、電話で言って……」

と、眉間に皺寄せて仲居さんに苦情を言いかけたら、ランディに浴衣の袖引っ張って止められた。

「いいじゃん。おまえが喰えば」

「そういう問題じゃない」

「いいじゃねーか。二度と来ねーんだから」

二度と来ねーからこそ、文句が言いたいのだが、ランディは逆であるらしい。
喰ってるうちに、物凄い量の料理が、めちゃくちゃな順番で運ばれて来る。
なんで、デザートの苺が茶碗蒸しより先に出て来るんだ。
刺身は来たが、鮑は無い。
鍋つつきながら、これで鮑が出て来なかったら、ランディがなんと言おうと文句言ってやる、と思っていると、舟盛り登場。

呆然。

鮑もサザエも、ひとり一個ずつ、鯛、鮪他、絶対に二人前じゃないだろう!という量である。
ケチな店なら十人分として出てきてもおかしくない。
上でも書いたが、通常の食事についている刺身は、既に来ている。そして、そっちもかなりの量だ。
大体、刺身というのは、器が上げ底だったり、ツマで多く見せていることが多いのだが……
減らない。
食べても食べても減らない。

仲居さんがやって来て、

「御飯はどうなさいます?」

「い、今飲んでるので、後で……」

「そうですか。では、フロントまでお電話いただければ、御飯お持ち致します」

これを我々に対する挑戦と看做し、ランディと共に完食。

因みに、刺身は美味、他の料理は並、であった。

食事の後、仲居さんが布団を敷きに来た。

「では、おやすみなさいませ。あ、そうそう。鍵はこちらでございます」




……思春期のガキでも、もうちょっとマシな鍵を要求するんじゃなかろうか。
襖の前に、人が入ってきたら蹴倒すようにタオルハンガーを置き、豆電球つけたまま就寝。


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