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2001年10月04日(木) 感染する不運

今日、旧友から電話があった。

「わたしも足の指骨折したー」

と、笑いごとじゃないのに笑うので、笑いごとでないのを判っていながら、ついつられて笑いながら、

「どーした?」

と尋ねると、

「足の上にアイロン落としたー」

痛みの余り、脳内麻薬でも出てるのか、あははははーと爆笑しながら言う。

「ところで『わたしも』ってなんだ?」

「いやー、これじゃ義弟を笑えないよー」

「ありゃー……あの人、またやってたんかい」

少し前に、彼女の義弟が、職場で仕事中に、足の上に鉄骨を落として骨折したのだという。
数ヶ月前には、その義弟が、立て続けに二回交通事故を起こしたと聞いていたので、半ば呆れながら同情したものだったが……。
それだけでなく、交友関係於いても、彼の周囲にトラブルが絶えることは無かったらしい。
その余りの不運を大笑いしていたら、今度は彼女が足の指の上にアイロンを落として亀裂骨折。
不運とは、人の不幸を笑うものに伝染するものなのだろうか。
もはや、笑えるレベルは超えているのに、彼女は爆笑している。

電話を切ってから、はっと気づく。
これは、奴の仕掛けた巧妙な罠だったか。
わたしも思い切り笑ってしまったではないか。

……電話でも不運が感染するか否か、戦々恐々である。


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