今日は、ちょいと、重めの話を。
ひどい風雨のために、飲み屋から出られなくなったらしいランディが、遅い時間に帰ってきて、中学生の少女に手錠をかけて、高速道路に放置して死なせた中学教師のニュースを見ながら、呂律の回らない状態で、だらだらと、語ってくれることには……
ランディの部署に、年上の後輩が入って来て、今までその人と飲んでいたのだという。 その人は、かつて、マスコミを賑わせた事件が起きた学校で教師をしていたのだという。 教職に就いて、数年目。 彼の担当していたクラスから、ひとりの被害者と、数人の加害者、そして多くの目撃者が出たらしい。 彼は、その事件を防げなかったらしい。 それだけでなく、事件の後、知っていることを語ることを許されなかったらしい。 そして、ついには教職を辞め、更に何度かの転職を経て、ランディの会社に中途採用されたという。
学校というものが、狂いはじめたばかりの頃の、今や、人によっては忘れかけた事件。 けれど、彼の人生は、それによって変わり、当然といえば当然かもしれないが、今もまだ忘れられずにいるらしい。
そして、その事件自体が世間に忘れられても、類似する事件は起こりつづけている。
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