ことばのかけら
桜子



 泣きムシ

綺麗な音色が耳に飛び込んだとき
おそるおそる切り出したホンネの後
熱い熱い紅茶の湯気に

たった一歩が踏み出せない時
怒りではらわたが煮えくり返った後
小さな世界に留まり悩み疲れた果てに

どうしようもない
かなわない……
そんな大きな優しさを感じた時

私は よく泣くようになった

「涙なんて恥ずかしい」と
意地を張って
映画を見たって泣かないようにしていたのは
つい、この間までのコトだったけれど……


2004年03月02日(火)
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