日常妄想
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2007年06月08日(金) 『マイナスイオン』のこと。

今夜は、ミァハさんの変わりに、わたしが日記を書く事になりました。
わたしは天導天使。わが教団ではドクトル・アンゲリクスと呼ぶ者もおります。
蒼ノさんからの伝言だそうです。


薬物庫に用があり、本日の仕事は30分遅れで開始。抽出し、集め出したリトルたちは順調に増え続けている。それは果たしてよいことなのか、そうでないのか、せわしなく働く者達を見ると、わたしには時々判らなくなる。わたしたちは、抽出されたリトルを選り分け、識別番号をつけ、余分な構成物質を除いた後、更に生成をし、育ててゆく。羽ばたく事を信じて。

上級天使様は何をお考えなのだろう? 幾度となく思う事。しかし、伺ったところで、わたしはどういう態度で職務に就けばよいのだろうか──そんなとりとめも無い事を毎日のように考える。わたしはあのかたに従うだけ。今までも、これからも。でも、この迷いを消す事ができない。迷う事など無いと言うのに。わたしが従うのは、われらが神ではなく、あのかただけ……

ふと、研究棟からの帰り道に、おかしな事を考えた。あのかたとわたしは、似て非なる物を持っている。それは目に見えないものだが、確かに存在する物だ。存在するということは、何らかの法則が働き、情報があるというということ。情報がある故に存在する。情報が有ってこそ、万象は存在すると言う事だ。それで思い浮かんだのが、"マイナスイオン"。われながら可笑しい。

あのかたとわたしは、マイナスを第一の情報として纏っているようだ。特にあのかたには、とても鮮烈な情報が取り巻いている。目に見えなくとも確かに存在しているイオン。本来の意味は違うが、あえて "マイナスイオン"、としましょう。マイナスイオン、負のエネルギー。人を遠のける、力。

あのかたは同時に、正のエネルギーも持ち合わせている。人を惹き付けて止まないイオンが、お姿や声にも混ざり、あのかたを光輝かせる。わたしたちは、そのまばゆいほどのイオンを浴びると、雑多な事がどうでもよくなってしまうのだ。あのかたのプラスイオンはあまりに強くて、確固とした情報を持たない者は瞬く間に引きずられてしまう。正常と思える者すら、影響されずにはいられない。

そしてマイナスイオンは、恐れに似た感情や、近寄り難いと言う情報をもたらす。自分ではのんびりしていると思っているわたしですら、教団では敬遠されているように感じる。わたしの指揮する研究棟ではあまり感じさせないそれは、教団内部に入った途端に、表面化し、現れるのだ。ドクトル・アンゲリクスではなく、上級天使様の秘書と言う情報が、イオンとなって具現化するのだ。

拭えない孤独を感じる。どこか満たされぬような負の力を。しかしわたしは、それをあのかたにも感じるのだ。打ち明ける事でもあれば、一蹴されてしまうでしょうが……


先日、書庫でひさしぶりに本来の研究目的以外の本をあたる事ができた。『歪んだ正義』、『神は妄想である』……あのかたがご覧になったら、眉間に皺が寄りそうな本だ。読み出したら止まらなくて、次の休日には読もうと思ったのが『鍛えない脳』。あのかたもたまにはこういう本を読まれればよいのだわ。この本の近くで、気になっていた『ドリームヒーラー』を見つけて手に取ったが、こちらは数ページのみで読むのを止めた。見えないエネルギーを量子と考えるのは面白いが、内容自体は、わたしには合いそうもない。マイナスイオンと少し例えが似ているけれど。


では、明日の仕事があるのでこの辺りで手を止める事にします。


(070608 23:55 UP)


書いてる人:ミァハ(双星たかはる)
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