なぜADHDに興味を持ったかというと、 一見して 病とはわからない 特に心の病を抱きながら 働いている人達の存在が、会社で気になりだしたからだ。
うちの会社に特にそういう人が多いとか 目立ち出したというのでなく わたしの関心が向いたことにより より気付き出したというべきか。
気付くきっかけはお店の女の子たちの相談役的役割がわたしに与えられたこと。
想像以上に ぱつんぱつんで頑張っている人が多いことに気付いた。 爆発寸前なのに まだ頑張ったり噴火しそうな自分に気付かずにいたり そうなる原因に気付かないまま 突っ走っていたり。
特に深く思いが残っているある女の子のことがある。
当時私は岡山の店舗のマネージメントを担当していたのだが、 その隣の店(担当外ではあったが そこもうちの会社の店舗)の女の子。 地域で一括して採用活動をしたので、わたしも面接に携わっており 彼女の顔はよく知っていた。
岡山へは毎週出張していたが いつあってもニコニコと愛想いいという 印象が強い彼女は、店のスタッフに聞いても明るく、素直な子。 ただ、腕に無数の傷があるという話しを あとで聞いた。 夏でも長袖の彼女だが、時々 わざと袖口をまくるようなことをする。 見た仲間も いちいちそれはどうした なんて聞けない。 でも、皆知っていたようだ。彼女のほうから 嬉々として話していたらしい。
上司に認められ さらに頑張って仕事をしていたが、 常にいいことばかりではない。 テンションが下がってしまうと、彼女はノースリーブで出勤してくるのだ。
誰の目にもはいり、お客様もおもわず視線がいってひいてしまうほど。 その店を担当していたマネージャーが 出きるだけ言葉を選びながら、 袖がある洋服を着てきたらどうか と進言したらその数日後、 彼女は店のハサミを自分の腕につきたてはじめたという。 試着室の壁に血痕がついたと聞いてわたしは言葉を失ってしまった。
いろいろあって、結局彼女は退職していったのだが、 この話しを 自分の担当店の店長から聞いたとき 本当に 本当におこがましいのだけれど、食い止めたい と思った。
いや、うちはただのメーカー販社だし、医療体制もなにもないところだし わたしに何ができるんや といったら ほんと何もできないわけだけど。
そう思ったのが6年前。 今 やっと「ストレスマネジメント」とか「社員の心の危機管理」 とか言われ出した。何か起こる前に くいとめたい 私が思ったのは そういうことだ。 何か起こしそうな危険人物は はじめから採用せねばいい という意見がある。
ADHDにしても、前述の女の子にしても はた目には ごくごく普通の いやむしろ人に気に入られようととてもあたりのいい人だったりする。 そこまでいかなくても 何かがきっかけで心がぐわっと歪んで その処理がわからないまま壊れてしまうことだって 往々にしてある。 世の中の人間 全員そうだと 思う。 何か起こす因子は 誰でも持っているのだ。
ただ、爆発前にそれを吐き出せる場所 全く己を否定されずうんうんと 聞いてくれる場所 それだけでも必要でないかと。 本来はそれが上司やメンターであることが望ましいが いかんせん その上司が疲れきっている・・・・・。
まぁそんなこんなで我が社も そっち方面にようやく着手の様子が。 計画倒れにならぬよう、そして利益がみえない部門はややもすれば すぐ切れらる可能性が あるので 慎重に。
社員を大切にすることは ある意味高い利益性があることに 気付いてもらえたら 嬉しいな。
ハサミをつきたてたあの子、自分の存在を肯定される環境にいるだろうか。 自分で自分を 愛しているだろうか。
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