Story of love
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2004年01月17日(土) ソ・ラ・マ・メ 6

窓ガラスに近づいて表面の水滴を指でぬぐった。

冷たい。


そう言えば、ずいぶん長いこと空を見ていなかった。

その間に、空は雲に覆われてしまったらしい。

また、太陽を見ることはできる?


後ろから糸で引っ張られるようにして、さっきのメモをしまった引き出しに意識が向いてしまう。


クリスマスの前のあの日、わたしは面接官のように、並んだ2人の前に座っていた。

不思議なことに、前からの別れの予感が当たったことに、一種の自虐的な満足感を覚えていた。


涙を流す彼女の横で、彼はうつむき、小さな声で「ごめんな」と言った。

彼女の涙が、きらめくダイヤモンドのように見えた。



こうしてわたしは、恋人と親友をいっぺんになくしたのだ。




その後、どこをどうやって歩いて家に帰り着いたのか覚えていない。

家族の誰にも会わないようにして部屋に駆け込むと、編んだマフラーを解きだした。

ぼわぼわな糸に戻った毛糸がじゅうたんに広がる。


きっとその時、わたしのこころも一緒にほどけてしまったのだろう。



そのかわりに得たものは、何にも乱されることのない平穏。

誰にも捉われることのない自由。



どこまでも果てのない白い、白い底なしの空虚。




冷たくかじかんだ手に目を落とす。

何でわたしの手は透けていないのだろう?

なぜ痛むのだろう?

どうして血が通っているのだろう?



まだ実体があることが不思議に思えて仕方ない。



(つづく)


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