東行庵の軒下で

2002年01月28日(月) 続・生まれたところ

あのクジラたちは、結局、海洋投棄せざるを得なくなった。


当初、標本にするために砂浜に埋める予定だったが、砂浜に重機のタイヤが埋まりこんで、一頭を輸送するのに半日かかったそうだ。死亡したクジラは13頭。(1頭だけが助かって沖に帰れた)全部運ぶまで、とてもとても海岸に放置できない。
クジラの脂肪分は厚く、体温を保ったままなので、内臓の腐敗が著しい。現に、かなりの悪臭が出ていたそうだ。

「海の藻クズとなるのは、まことに残念・・・・」と言っていたけど、そんなこたぁない、と思うよ。

あの亡骸(ムクロ)は。ニンゲンにとっては、腐敗した塊でしかない亡骸は・・・
肉や臓物は海の生き物の糧となる。骨は小さな生き物の隠れ家となる。溶け出す栄養分は海を支える。そして、それを食べた小さな生き物は、クジラの食料となってクジラを支えていく。


死んだものを食べて、命は生きている。綺麗なものは、キタナイモノといわれるもので支えられてるんだ。腐った葉っぱの溶け込んだ土から、綺麗な花が咲くようにね。それが、自然の法則なんだ。

そうやって、命は形を変えて次へと伝わっていくんだ。「永遠の命」って、そういうことらしいよ。




博物館で、クジラの「形」を伝えていくのは、一頭だけでいいよ、ね。


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