「おねぇ、名古屋が雪にうもっとるばい」 弟が、きついジョークを携えて、寝坊気味の私を起こしにやってきた。 「埋もれるほど降るか!!そんなもん」 と、TVのニュースをみた。
「・・・・・・・まじ?」
のっぴきならねぇ用事で、明日から名古屋に行くことになっている。 のに、
「空港閉鎖??は、?ちょっちょっと、なんしよん、アンタ、あたしはどうなるわけよ、明日は飛ぶの?どうするよー!!?あした、飛べるんやろうねぇ!!」
懸命にTVに話しかけている私の背後では、
「わ〜、昼間なのにまだあんなに雪が降ってるわ〜!!欠航だって、欠航!!」 「ひこ〜き、欠航便ゾクシュツ!欠航・欠航〜」 と、怪しい宗教集団のようにマイファミリーが踊っていた。
気をもんだところで、しゃぁなかったい。明日にならな、天気げな分からんくさ。 と、自分をごまかし、トラベルセットを二つ用意。名古屋行きと、八代行き。
最悪のパターンを幾つか考え、名古屋行きの中に、八代セットを組み込んだりして、気がつけば夕方。
気がまぎれたはずなのに。買い物から帰ってきたバァちゃんが 「あんた、名古屋、雪で大変ってよ。欠航してるってよ、ひこ〜き」
気の小さいおいらは、その晩、眠れぬ夜を過ごすこととなった。
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