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| 思いわずらうことなく愉しく生きよ |
| 2004年08月10日(火) |
今年上半期はほとんど本にお金をかけられなくて、 いつのまにか読んでいない江國さんの本が3冊もたまってしまいました。 いい加減読まなきゃしかたないだろうと、やけくそで一番高いのかってましたよ。 『思いわずらうことなく愉しく生きよ』
以下、本の内容かすりますので読む予定の人はご注意を。
3姉妹が主人公の話です。 結婚してる長女と、彼氏と同棲中の次女と、恋人のいない三女。
物語の感じは間違いなく江國さんなんだけど、今回はいつもの本との決定的な差が・・・・
読んだ人にはわかるだろう。 う〜ん、ドメスティック・ヴァイオレンス。 結婚している長女が旦那に殴られる、蹴られる。 心を傷つけるとか、言葉の暴力とかじゃなくて ・・・ホントに暴力。
江國さんは流れている空気や、感触や、人物の気持ちを文章化するのがとても上手な人です。 特に『心に渦巻くえもいえぬ恐怖』の描写が上手だ、と私は思ってます。 今までは描かれたことのなかった、物理的な『暴力』とそれに対する恐怖。 リアルです。いまここで髪の毛引っ張られて唾を吐かれてるのは彼女じゃなくて私なんじゃなかろうか。 恐くて体が震えたことなんて、人生で3回くらいしかないんですが、 バッチリガタガタきました。
かつての物語の登場人物、たとえば笑子とか果歩とか、変わった人だなあですまされる”狂気”なら、すてきな小説の彩りで済まされる。 だけどさあ・・・この人に本物の狂気書かせちゃダメだって(笑)。 恐いんだよ!もう一回読む自身がないよ・・・。
ただ、これはあくまで長女の物語であって、次女、三女の生活や恋愛は読んでいてとても面白いです。 特に三女の育子ちゃん。 かつての登場人物のような、まさに”小説の彩り”を持つ人。 この人がいなかったら、ワタシこの本をこれ以上落ち着いて読めなかった。
まだ買っていない本が2冊あります。 一冊は内容を知らないけど、もう一冊はネットで連載していたエッセイだから、 今度は安心して読めるかな。 |
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