シリアスモードか? - 2001年10月02日(火) (※以下の駄文は連載小説?です。弥犬の現代版になっております。 第一回分は9月24日、第二回分は10月1日にあります。) ---------------------------------------------------------------------- 「かごめ、悪いな。今日の所は取り敢えず帰ってくんねぇか? 俺はこの馬鹿野郎と話がある…」 〜 〜 〜 弥勒は、かごめを玄関まで送っていった犬夜叉がリビングに戻ってくるのを背中で感じていた。 男二人になった部屋の中は、ピリピリと逆立った空気が渦巻いている。 何か一言でも口にしようものなら、即座に言い合いになることは互いに判っていた。 だから、余計に気まずい雰囲気の中、沈黙の時間だけが流れていった。 そうしてやや経って、気持ちを落ち着けた弥勒がようやく振り向いた時、 そこに犬夜叉の姿は無かった。 ただ、カーテンの裾がゆらりと秋の夜風に揺れていて… どうやらベランダに出たらしい。 何だか、ひどく切なかった。 そして、自身を深く嫌悪した。 別に誰が悪いことをした訳でもないのに、あんな嫌がらせを言った自分… そのくせ、逆ギレした犬夜叉に少々傷ついている自分… <俺が怒らせたくせに…> もっと大人のつもりでいたが、犬夜叉のことになると制御出来ない自分がいるらしい。 <こんなんじゃ、人を好きになる資格なんて、無いよな…> それでも、風に踊るカーテンの向こうで一人項垂れているであろう犬夜叉がたまらなく愛しくて… <やっぱり、ちゃんと好きになりたい…もっと大切にしてやりたい…> 弥勒は意を決して腰を上げた。 〜 〜 〜 「悪かったよ」 暗いベランダで、淋しく木の椅子に腰掛けている犬夜叉に後ろから声をかけた。 「俺が、悪かったから。…あの子にも悪かった。 変な誤解(ホントは誤解ではないのだが…)してると思うから、 後で俺からも謝っとくよ、な?」 「……」 「ちゃんと上手く言っとくって。心配すんなよ、な?」 「……」 「お前だって、女の子とも付き合いたいよな?…解かるって…」 「……そんなに、自信無いわけ?」 俯いたまま小さく吐かれた言葉に、弥勒は心臓をぎゅっと握られたような疼きを感じた。 「俺とかごめは、付き合ってるって言ったって、別に何にもねぇし… それに俺…お前のこと、すごく大切にしてなかったっけ?」 「……」 「普段から、めちゃくちゃお前に惚れてるって態度じゃなかったっけ?」 「……」 「いつもいつも、エッチの時には‘好きだ大好きだ’って叫んでなかったっけ?」 「犬…夜叉…」 「どれだけ…どれだけ好きって叫んだら、お前は俺を信じてくれるわけッ!?」 振り向いた犬夜叉の目尻が赤く腫れているのが、部屋の明かりに照らされて見えた。 「…犬夜叉…ゴメン、ゴメンよ…犬夜叉…」 心の底から溢れ出てくるような懺悔の言葉を口にしながら、 弥勒は犬夜叉の震える肩を後ろからぎゅっと強く抱き締めようとする… が、鼻先に奇妙なモノを突き付けられた。 「何?コレ…」 「何って、ケーキに決まってんじゃん」 皿の上に載っているのは、確かに、ケーキらしいが… さっき犬夜叉が手づかみで食べていたモンブランの残骸だった。 断面に歯型が見えそうな、無惨に崩壊した、モンブランの残り三分の一くらい。 「お前、自分で買ってきたのに食ってないだろ? 俺が食ってるのすげえ食いたそうに見てたじゃんか…」 小さくて不器用な優しさに、喉の奥が熱くなって、息が詰まる。 「ばっ…かじゃねぇの…お前…汚ねぇし、よ…っ…」 「仕方ないだろ。それでもお前が食いたそうにしてたから…」 「俺はケーキなんか、別に食いたくねーよ」 「要らないのか?」 「いいから、お前が食えよ。ソレ、お前に買ってきたんだし…」 「ホントに要らないのか?」 「要らないってば。早く食えよ…」 犬夜叉は弥勒とケーキの間で目線を往復させていたが、 やがて…「んじゃ、遠慮なく」とケーキ皿に口をつけ、もぐもぐと美味そうに食べた。 「なあ、犬夜叉。 俺がさっきお前のコトをじーっと見てた時、ホントは何が食いたかったか知ってるか?」 「……?」 弥勒はニヤニヤとナニかをやる気満々で微笑みかけながら、 椅子に座る犬夜叉の膝の上に、向かい合う格好で脚を跨がせる。 「……!」 鼻と鼻がくっつくくらい顔を寄せたかと思うと、 まだもぐもぐ動かしている犬夜叉の口の中に、舌を侵入させてきた。 「ンッ、ンーーーッ!!」 さすがに、犬夜叉もこれには抵抗した。 「なっ…お前、ぐちゃぐちゃのケーキ見ただけで‘汚ねぇ’って言ったくせにッ!」 「これは特別♪」 手短にそう言うと、再び犬夜叉の頭を引き寄せて唇を深く重ねた… 弥勒の舌が犬夜叉の口内でマロンクリームを貪り舐める。 柔らかい舌の間で、甘いクリームがどちらのものともつかない唾液で溶かされていく… 犬夜叉は執拗に舌を絡められ、撫でられ、吸われ、 熱を帯びてくる自分の体まで溶かされてしまうのではないかという気がした。 濃厚な秋の香りが繋がった唇から伝わって、 いつしか弥勒の息にも微かな栗の匂いが混じっていた。 それは不思議な一体感で… ずっとずっと、こうして繋がっていたいと祈りを込めて… 犬夜叉は弥勒の背中に手を這わせた… 甘いマロンの味が消えてしまっても、 東の夜空に冬のオリオンが姿を現しても、 弥勒はそのまま犬夜叉の唇に、愛をつぐない続けた… おわり★ ---------------------------------------------------------------------- やがて寒さに耐えかねた二人は、一緒に熱いシャワーを浴びたそうな… 以降、ご想像にお任せ致します(笑)。 ---------------------------------------------------------------------- ミロイヌよ… なんだかんだ言って、やっぱりアツアツなんだね、キミたち。 最後に書くのも変ですが、この小説のタイトルは『甘い罠』です。 ベタですが(苦笑)。 日記のタイトル…『シリアスモードか?』と言うより、 『不完全燃焼か?』の方が合っているような気がする(反省)。 もっと燃やすべし。 それに、何か、ちょっと汚いっぽいし(笑)。 でもやっぱ、好きな人とならイイのかなぁ〜。 23:02。 日記ページのくせに、 弥勒様の鼻の下くらい長〜くなってしまったので、 表示日数を3日に変えました。 ...
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