修羅場か? - 2001年10月01日(月) (↓以下の駄文は9月24日(月)の日記のつづきです↓) ※初めましての方へ※ この日記コーナーでは突如ゲリラ的に小説の連載を始めることがあります。 わけの分からんサイトでスミマセン。 忍耐力のあるお方は(…笑)どうぞよろしくなのです。 ---------------------------------------------------------------------- 弥勒は予想もしていなかった事態に遭遇した。 「犬夜叉ぁ〜?誰か来たの〜?」 可愛らしい声を上げて奥からエプロン姿で出てきたのは、見知らぬ女で…。 「あ…っと…その…」 犬夜叉はその女と弥勒を交互に見て引きつった笑いを浮かべている。 ぴくりと吊り上がった弥勒の片眉に怯えながら、犬夜叉が口を開いた。 「日暮かごめ。…俺の…カノジョ…」 そう弥勒に紹介すると、勘弁してくれとばかりに犬夜叉はこっそり片目をつむる。 彼女と紹介されたかごめは、玄関で靴も脱がないまま固まっている弥勒に笑顔を向けた。 「初めまして。えっと…」 かごめの言葉を継いで犬夜叉が弥勒を紹介する。 「弥勒。俺のとも――」 「カレシです」 弥勒が自分の言葉に覆い被せるように吐いたそのセリフに、 犬夜叉は一瞬、場の空気がピシピシと凍りつく音が聞こえたような気がした。 弥勒が怒っている… それも半端な怒り方ではなさそうだ… 「あ、あ…っはは…はは…。コイツ、たまにこーいう冗談言うから、気にしないで」 たらーりと冷や汗を流しながら、対応に困っているかごめに弁解する。 そして、いつもは自分で勝手に上がってくる弥勒に、今日はきちんとスリッパを出してやる。 だが、その礼儀正しい態度に弥勒の目は更に冷やかなものになっていった… 〜 〜 〜 リビングに入ると、弥勒はわざととも思えるほどの図々しさで、 他人の家の冷蔵庫をガシャンと開け、中から缶ビールを取り出した。 それから、ソファーにバフンと座り込み、プシュッとプルタブを上げ一人でゴクゴクと飲み始めた。 その一連の動作をかごめはポカンと口を開けて見ている。 「あ…弥勒?これ…」 「ん?ああ、それ二個しかないから、二人で食べて」 弥勒は首だけ後ろに向けて、ケーキの箱を手にした犬夜叉に答える。 「じゃ、私と犬夜叉で一つを半分ずつ食べれば…」 かごめが遠慮がちにそう提案すると、犬夜叉も「そうだな」と返事をしかけたが… <ンなコトしたらぶっ殺すッ(怒)> …と弥勒の瞳がギロリと憤慨光線を放ってきたので、 「弥勒は甘いもの好きじゃないから…」と大人しく一つずつ頂くことにする。 「私、紅茶入れてくるね」 かごめもその尋常ではない空気を感じ取ったのか、いそいそとキッチンの方へと姿を消した。 しかし、それを見逃してやるほど弥勒は甘くない。 〜 〜 〜 キッチンで紅茶の在処を探すかごめ… その背後から何の前触れもなく声がかかった。 「右の戸棚の奥の方、はちみつの瓶の裏ですよ」 「あ…ありがとう…」 と、紅茶の缶を取り出そうとして、ふと思い当たる。 <なんで、知ってんの…?> 頭に疑問符を浮かべて振り返るかごめに、弥勒は質問の隙すら与えない。 「ソレ、古いから賞味期限見てもらえます?」 <しかも、そんなコトまで…?> と思いながらも、言われた通りに缶の裏をひっくり返してみる。 「男のコトは男の方がよく知っていたりするんですよ」 振り向くと、弥勒は壁に寄り掛かったまま、にっこり微笑んでいる。 そのコトバの裏の意味も知らない純なかごめが、 <なんだ、優しい人なんだ…> と感じ始めたのも束の間、次の攻撃が仕向けられる。 「可愛いエプロンですね。今日は犬夜叉の餌付けに来たのですか?」 「え、餌付けだなんて…。ちょっと手料理を食べさせてあげただけです」 かごめに反逆の意図があったのかどうかは定かではなかったが、 その一言が弥勒の感情を逆撫でしたことは疑いようもない。 「いや〜それは有り難いですな」 「?」 「たっぷり精をつけて下さったのでしょう?私としても後が楽しみです♪」 「……」 さすがにこの発言は効いたと見えて、かごめは明らかに困惑の色を浮かべた。 その様子にようやく気が済んだのか、弥勒はかごめの肩をポンポンと叩き、 「冗談ですよ」 と一言付け加え、リビングへと戻って行った。 〜 〜 〜 リビングでは犬夜叉が落ち着かない様子でうろうろ歩き回っている。 弥勒は、自分をすがるような目で追い駆けてくる犬夜叉を敢えて無視し、 冷蔵庫から二本目のビールを出して飲み始めた。 しばらくして、かごめが紅茶を載せた盆を手に戻って来ると、 犬夜叉は当然の如くモンブランを手で掴み、バクッとかぶり付いた。 その甘い味覚にさっきまでの緊張が解れたのか、 口の周りにクリームをべっとりつけて、さぞかし美味そうに食っている。 <くっそおー!二人きりなら、あの口の周りについたクリームを俺が食うはずだったのに!!> 頬杖をついた弥勒の妬ましげな視線とぶつかり、 犬夜叉はうろたえ、手にしていたモンブランを落としそうになってしまう。 「犬夜叉ってばいっつもそう…。そんなに慌てて食べちゃダメよ」 テーブルで犬夜叉と向かい合わせで座っているかごめが、 (弥勒が食うはずだった)口の周りのクリームをティッシュで拭ってやる。 「あ、あんがと…」 怖々と弥勒の方を振り向くと、テレビに向いたままビールをグビグビやっている。 状況は更に悪い方へと進んでいるのを感づいてはいたが、犬夜叉には止める術も無く… そんな調子で、弥勒の前には空になったビールの缶が次第に山と積まれていった。 …… 「俺、そろそろ帰るよ…」 犬夜叉とかごめが内輪の話をしている所に、突然弥勒が割って入った。 「え…ちょっ…弥勒、待てよ…」 パーカーを手にした弥勒に、犬夜叉もガタンと椅子から立ち上がる。 「だって、邪魔だろ?」 「あ、あたしもうすぐ帰るから…」 謙虚な少女に、弥勒はフッと軽く鼻で笑う。 「いいんですよ。今日は泊まるつもりで来たんでしょう?」 壁の時計はもう十時半を回っている。 「そんなんじゃ…」 「後は二人でごゆっくりイチャついて下さい」 「弥勒っ…」 不敵な笑み…と言うより不気味な笑みを浮かべて弥勒は続ける。 「良かったな犬夜叉。この下心満載のお嬢さんをたっぷり泣かせてやれよ」 「弥勒ッ!!」 意外なほど大きな声に弥勒が顔を上げると、 頬を真っ赤に染めたかごめの背後から、犬夜叉の鋭い眼光が自分を射抜いていた。 「……」 一旦怒らせると怖いのは、案外犬夜叉の方かも知れない。 「かごめ、悪いな。今日の所は取り敢えず帰ってくんねぇか? 俺はこの馬鹿野郎と話がある…」 つづく ---------------------------------------------------------------------- もう、いい加減終わらせろ! てな声が聞こえてきそうですが、続いてしまいます。 多分、明日、決着がつくかと…。 00:30。 ...
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