2004年04月10日(土) |
私がいたはずの場所がぽっかりと空いた? |
Iさんと話してて、思いだしたこと。
別れる時、最初しんごはとても強気だった。 もう決心したんだなとはっきり受け取れるほどには強気だった。 (電話での別れ話を拒否るくらいには弱気だったけど)
それから別れても、友達でいることになるあたりにも。 しんごはまるであたしの状態なんて気にしなかった。 自分の中の混乱や、渾沌とした思いだけで手いっぱいだったんだろう。 あたしに対する感情で混乱していたわけではないと思う。
すぐになんでもわかって受け入れていたはずのあたしが、しんごの言うことに激しく対抗して、しんごをなじる立場に立ったことに対する苛立ちはひしひしと感じていた。 けれど、だからと言ってあたしの気持ちに対しては、配慮するだけの余裕はなかったみたいだ。
あの時が一番のどろ沼だった。 何もかもが不透明で、偽りばかりで、もう二度と言葉を交わしたくないと思った。隠し事をしていたから、後ろめたさでおかしくなって攻撃的になっていたんだと思う、と、しんごは落ちついてから話していた。 隠し事がすこしずつ露見していって、そしてそれに連れてパニックから抜け出して、しんごはいつものしんごに戻った。 傷つけてごめん、という言葉がやっと出た時には、ガチガチに入っていた肩の力がふっと抜けた気がした。
だけど、やっぱりあたしは完ぺきな別れがやってくると思っていた。 悲しいけれど、いや悲しいからこそそうしなくちゃならないと思った。
そんなあたしに、しんごは何度も繰り返した。 「本当に、もう二度と話すことはできない?」 「絶対無理なのかな」 ダメだよ、と言いながら、結局あたしは根負けしてしまってた。 すっぱり断ちきってしまった方が、ずっと楽だって頭ではわかっていたのに。 丸二日かけて、あたしは説得されてしまった。 ずるい言い方で、陥落させられた。
今は些細な言葉でめちゃくちゃ傷つくよ。 もしまたひどいこと言われたら、今度こそ終りにする。 それでもいい?
そう話したら、
絶対傷つけないって約束する
って返してきたっけ。 そしてしんごはそれを実行し続けてた。 忘れっぽいしんごにしては珍しいくらいに、約束を守ってた。
それでも事実は変わらないから。 私はしんごから「いらないもの」として選択された、という事実。 一度は「不用物」として扱われた、という事実。
その事実に傷つき続けながら、いくつもの苦しい思いを重ねて、やっと今笑っていられるようにまでなった。 そうして今現在に続いてるんだなと思いだした。
しんごが人一倍さびしがりだというとこは知っている。 だから、ぽっかり空いた穴に耐えられなかったんだろう。 本当なら、今の彼女でいっぱいに埋めるべき穴なんだと思う。
こんなに弱いしんごだから、あたしは万が一にも、また付きあいたいとは思わない。
もし自分がしんごの今の彼女の立場だったら、付きあっている自分がいながら、昔の女に毎日マメにメールしてて、毎晩のようにネットでその女と遊んでいるなんて、到底我慢ならない。 そういうヤツだということを理解してなお、容認できるくらいの器は私にはない。
一時期は、あたしからしんごを奪ってしまった相手への、ささやかな復讐として存在するもヨシ、なんて思ったけれど、さすがに今はそこまでの感情は持てない(笑) ご愁傷様とだけ思いつつ、あたしはただ、しんごと楽しいことだけしていられる立場を満喫している。
だから、しんごとはずっと友達でいる。
それ以上になれば、待っているのはただ疑心暗鬼の地獄のみ。 好きという気持ちが残っていないと言えばまったくの嘘になる。 でも、その気持ちも以前のように激しい感情ではない。
男とはそういう生き物なんだと、諦めてしまえばいいのかもしれないけれど。
純粋な愛情だけでつながっていた時期もあった。 今はだんだんと男のずるさを身につけつつあるようだけれど。 そのわずかなひとときの思い出だけは、そっとしまっておきたい。
今だから言える。 あたしは、多分しんごを愛していた。 多分今も。 恋していた時とはずいぶんと形は変わってしまったけれど。
久しぶりに過去をまた見つめ直してしまった(笑) だけど自分がどうしたいのか、どう思っているのかははっきりしているから。 それでいいかなと思う。 私はもう、渾沌の中から抜け出したとおもう。 昔の傷をなぞってみても、もうそんなには痛まない。 ぞくぞくするような触感がするのみ。
そしてしんごの中で私がずっと締めていた場所に、いまだ座り続けている私。
そんなようなことを、もっと簡単に話したら、Iさんは「じゃあ次探せよ」とからかってきた。 「めんどくせーからイラネ」 と答えたら 「めんどくせぇって…言いきったよコノヒトワ!!」 と馬鹿笑いされてしまった。
まぁいいじゃんね。
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