2012年10月23日(火) |
てぃるのぐ建国祭(仮)・その17 |
「今日は朝の散歩?」 「クッキーを買いにきたんだ」 確かに手綱を握る反対側の手には紙袋が握られている。しかもクレイアのお店のロゴがしっかり入っていて。ティル・ナ・ノーグの名産品といったら間違いなく黄金林檎だけど今回だけは別の商品も作られているらしい。 「確か、ウロボロスの形をしてるんだっけ?」 クッキーの入った袋にカードを入れて、それを渡したいと思った人に渡すんだった。クッキーをもらった人はまた別の人にクッキーを渡して。クッキーがわれた時に初めてそれをおいしくいただくことができる、だったかな。 「セヴィは誰にクッキーを渡すの?」 興味本位で尋ねると、お父さん! と元気な声が返ってきた。 「あと、リューンとアレッサさんとクレイアお姉ちゃん。もちろんイオリお姉ちゃんにもあげるね!」 無邪気な笑顔がとてもまぶしい。なんとなくだけど、将来彼は大物になるんじゃないだろうか。いろんな意味で。 「お姉ちゃんは誰にあげるの?」 そんなことを考えているとふいに問いかけられた。 「やっぱりユータスお兄ちゃん?」 どこらへんがユータなのかわからないけど、これから考えると曖昧な返事をした。そもそもクッキーをどうにかしないとどうにもならないし。 「それよりちゃんと薬は飲んでる? イレーネ先生も心配してたよ?」 そう言うとちゃんと飲んでるもんと決まり悪そうな声。薬が苦いのはわかるけど、これはちゃんと守れてないな。 「施療院にも顔を出してね。みんなセヴィに会いたがってたから」 そんな会話を交わし、仕事前の時間がすぎていった。
過去日記
2004年10月23日(土) 「家族写真」第四話UP
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