2012年10月22日(月) |
てぃるのぐ建国祭(仮)・その16 |
ティル・ナ・ノーグの朝は早い。細かい時間の感覚はないけれど、日の出と共に起きて仕事して、日の入りと共に仕事を終えて自宅にもどる。 わたしが住み込みで働いているグラツィア施療院は忙しい方だと思うけど、それでもはじまるのはお昼を食べる少し前。お昼ご飯はグラツィア家のお手伝いさん達が作ってくれることもあれば、わたしが作ることもある。手のこんだものは作れないけど簡単な手料理程度ならなんとか。あとシラハナの家庭料理ならお母さんやばあちゃんに教わったからひととおりのことはできる。それがこっちの人たちには好評らしく、最近は月に数回はせがまれることがある。 そのあたりはおいておくとして。 「イオリお姉ちゃんおはよー!」 淡い金髪が視界にうつる。しばらくすると、手をぶんぶんとふりながら男の子が駆け寄ってきた。 「おはよう、セヴィ。今日も散歩?」 セヴィーリオ・ハルト。人なつっこくて元気な10歳の男の子だ。視線をあわせて問いかけるとうんと元気な声がかえってきた。 「リューンが遊びに行きたいってきかないんだ。お姉ちゃんも散歩なの?」 「仕事がはじまるまでだけどね。この子はユウタっていうの」 手綱を軽く引くと、ユウタはぺろりとセヴィの頬をなめた。 「よろしくねユウタ。こっちはリューンっていうんだよ」 互いの手綱を近づけると二匹の犬はくんくんと臭いをかぎあった。
「ばうわう!(見かけない顔でしね)」 「ワンワン(あなたこそ)」 「わうわう(あっしは坊ちゃんの護衛でし。そんじょそこらの犬と一緒にしないでほしいでし)」 「ワン(私だってこの子を護らなきゃいけないの。どいてくださるかしら)」 「あおん(そんなあ)」
「なんだか話し込んでるみたい。きっと仲良くなれたんだよ」 「リューンの話してることがわかるの?」 「もちろん! ぼくとリューンはいつも一緒だもん」 そういうものなのかな。
過去日記
2006年10月22日(日) 旅行に行ってきました 2004年10月22日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,27UP 2003年10月22日(水) ちょっとした出来心
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