つれづれ日記。
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2012年10月19日(金) てぃるのぐ建国祭(仮)・その14

「善は急げだ。さあいくぞ」
 今にも飛び出しそうな勢いのお父さん。慌てて首根っこをつかむとなにをするんだと恨めしげにこっちを見た。
「来たばっかりなんでしょ。だったらゆっくりしてからでもよかやろ(いいでしょ)」
「しかしな、善は――」
「友達は逃げないから。急ぐ前に知り合いのところでも行ってくれば?」
 確かに友人は逃げない。むしろ黙々と工房で精をだしているだろう。ひどければ力尽きてグールのように倒れているかもしれない。
 考えてみれば、手紙に友人のことを――ユータのことをあげたことは何度か会った。でも名前は一回も出さなかったし何より友人が男の子だということは一度もふれてない。別にやましいことはしてないし、普通に紹介すればいいだけのことだけど。
「わたしのことを心配してくれるのは嬉しいけど、まずは自分のことを考えて」
 だけど。
「お父さんのこと、心待ちにしてる人たちがいると思うよ? まずはそっちから――」
 口からは意図したものとは正反対の台詞。しかも、俺のことをそんなに想ってくれるとはと涙ぐまれてしまった。
「そうだな。今日はここまでにしておこう。あいつもおまえに会いたがってるからな」
 そういえば、誰かを同行させたって手紙に書いてあった。一体誰のことなんだろうと思った矢先に。
 わん! 
 耳に届くのは懐かしい鳴き声。
「ユウタ!」
 茶色の毛並みにダークグリーンの瞳。
 そこには二年ぶりのもう一匹の家族がいた。






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