2012年10月11日(木) |
てぃるのぐ建国祭(仮)・その8 |
「初めまして。イザム・ミヤモトです。娘がいつもお世話になっております」 「ご丁寧に。こちらこそお嬢さんにはいつも助けられていますよ」 挨拶をしたいということで、半ば強引に引きずられる形で施療院にもどってきた。 「土産と言ってはなんですが、俺が作った野菜です」 「これまたいつもご丁寧に。いつも重宝させてもらってますよ」 シラハナからティル・ナ・ノーグまでは船で一週間かかる。それでも野菜が食べられる状態で届くのは特別な配送をお願いしているのと保存食用に加工してあるから。それでも手間暇がかかるし、苦労してるんだってことはわかる。 だけど。 「あれが噂のイオリちゃんパパ?」 二人の話を聞きながらリオさんが耳打ちする。 「なかなかすごいお父さんだね」 「苦労してます」 わたし達の会話をよそに、大人達の会話は繰り返されていく。 「そうでしょうとも。うちの娘はシラハナ一、いや、ティル・ナ・ノーグ一の器量よしですからな」 「さすがにティル・ナ・ノーグ一は言い過ぎかと――」 「言い過ぎなんかじゃありません! 俺のイオリはティル・ナ・ノーグ一、いや世界一だ!」 「お父さん落ち着いて」 「本当にいい子に育ってくれた。俺の目に狂いはなかった」 「本当にすごいお父さんだね」 「……苦労してます」 心の底からしぼりだしたため息に、リオさんは同情するように肩をたたいた。
過去日記
2005年10月11日(火) パリコレ 2003年10月11日(土) うー
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