2012年09月13日(木) |
アール・エドレッドの場合(仮)・15 |
「それで結局どうなったんだ?」 興味津々といった体の友人にアールは肩をすくめてみせた。 「なんにも。もう一度霊園を尋ねてみてももぬけのからだったし」 風にのって聞こえてきたのは笛の音のみ。実はこれはこれで「ヒトを偲んで音を奏でる幽霊」とかいったらいけるのかもしれない。 明らかにヒトの形をしておきながら、その道の先々ではヒトならざぬ出来事ばかりおこる。かといって幽霊や怨霊の類でもない魔か不思議な存在。 「じゃあおまえの追跡劇もこれでおしまいってことか」 「まさか」 不気味な存在ではある。だがそれだけだ。 「危険な目に遭ったとか言ってなかったか?」 「あった。すっげえ怖かった」 「ならーー」 「それはそれ、これはこれだ」 そもそも面白いネタほど危険と隣り合わせなのだ。こんな上物のネタ、放っておけるわけがない。 「待ってろよ。今にさいっこうの記事を書いてみせるからな!」 グラスを片手に握り拳。どうやらアールの知的好奇心はまだまだおさまりそうにない。
だが、彼は知らない。 ヒトではなく精霊や幽霊でもなく。世の中にはそれ以外の存在があるということを。
過去日記
2004年09月13日(月) EGはこうして作られる 2003年09月13日(土) ありがとう
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