2012年08月14日(火) |
伊織の手紙−海より−(仮)・12 |
アルテニカ兄弟には親御さんの捜索をお願いした。子ども達と接する時間が長かった分、わたし一人で捜すよりも早くすむだろう。 わたしとリオさんは海の海岸、ぎりぎりまで移動する。本当ならユータにも頼みたかったけどニナちゃん達や他の子ども達のことも心配だったからそっちを優先させた。 「波が高いな。もうすぐ満ち潮になる」 今は日はまだ高い。でも時間がたてば引き潮から満ち潮に変わって、今よりもずっとずっと捜しにくくなる。 「泳ぎの得意な奴を呼んできたほうがいいな。俺は先生達を呼んでくる。イオリちゃんはここで見張ってて」 そう言うとリオさんは海岸を後にした。 改めて海に視線をうつす。さっきは200マイスくらいの距離だったのに今ではもっと遠くに浮き輪が見える。浮き輪を見つけてそれほど時間はたってない。ただ流されただけならまだしも持ち主が側にいたら? あまつさえ―― 「!」 浮き輪から少し離れたところ。そこに必死になって浮き輪をつかもうとしている――子ども。
嫌な予感は的中した。 迷ってる暇はなかった。上着を脱いで海に飛び込む。準備体操くらいしておけばよかった。でも場合が場合なんだ。今いかなきゃ後で絶対後悔する。 お願い。間に合って!
過去日記
2004年08月14日(土) 砂漠にまつわるエトセトラ・その2
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